『ガタカ』の名コンビ、再びっ! 『ドローン・オブ・ウォー』(点数 90点)
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「ドローン」という単語を耳にする機会が多くなりました。
でも、そもそも「ドローン」ってなんなのでしょうか?
実は、「無線操作によって飛行する無人機」のことなんです。
災害発生地での現状調査や荷物の配送、個人の趣味から商業レベルでの動画撮影などさまざまな用途が想定され、これから莫大な経済効果が見込まれているのだとか。
でも、こんな風に使われているなんて、知りませんでした。
アメリカ空軍のトミー・イーガン少佐(イーサン・ホーク)は、F-16戦闘機のパイロットから、無人戦闘機の操縦士に転身し、政府のテロリスト掃討作戦に貢献してきま
した。
ラスベガスの基地に設置されたコンテナ内で無人機ドローンを遠隔操作し、1万キロ余りも離れた異国でのミッションを遂行しているのです。
一日の任務を終えると、車でラスベガスの歓楽街を通り抜けて、美しい妻とふたりの幼い子供との生活に戻ります。
アメリカ国内の「戦地」と自宅の往復が日常だったはずでした。
なのに、クリックひとつでミサイルを発射する爆撃は、まるでゲームのように現実感が欠落していて、トミーの心を徐々にむしばんでいきます。戦地に行かずして、PTSDに苦しめられているのです。
戦争の形が、こんなに変わっていたなんて、驚いてしまいました。
モニターのみで、派手な効果音はないけれど、本当にゲーム画面のようです。
トミーが少しずつ、壊れていくさまや「正義」という定義が少しずつ、変化していくのに、恐怖を感じました。
『ガタカ』のアンドリュー・ニコル監督とイーサン・ホークが再び、タッグを組み、淡々と現代の「戦争」を描きました。
見ていてかなりつらいし、単純なハッピーエンドでもありませんが、今見るべき作品になっています。
(小泉 浩子)