ドラゴン・タトゥーの女 - スタッフTOMOKO

新しいタイプのヒロインを演じ切ったルーニー・マーラに脱帽。(点数 98点)

映画のヒロインというのは、その時代時代によって
いろんなタイプがいるが、「ドラゴン・タトゥーの女」のヒロイン、
リスベット(ルーニー・マーラ)は、まったく新しいヒロイン像を演じている。

彼女は、幼い頃に心に傷を負い、人間関係がうまく築けない。
他人とのコミュニケーションもうまくできない、というよりは、
意識的に他人から嫌われるような態度を取る。
風貌は、身体中にピアスをし、髪を逆立て、パンク風のいでたちで
肩にはドラゴンのタトゥーが入っていて、ただのイカレ女にしか見えない。

でも、彼女には天才的な調査能力があった。
極秘任務を請け負う調査員として、パソコンをハッキングし、驚くべき集中力で、短期間のうちに調査対象をあっという間に調べ上げる。

主人公のミカエル(ダニエル・クレイグ)は、雑誌記者として、実業家の悪事をあばくが、逆に裁判で有罪判決を受けてしまう。
雑誌に迷惑をかけないようにと、スウェーデンの田舎である事件の真犯人をつきとめる依頼を受ける。
そこで、優秀なアシスタントを必要としたミカエルが、リスベットを相棒として選び、一緒に事件を追うというストーリーだ。

ストーリー自体も面白いが、私は画面上のリスベットから目が離せなかった。
こんな外見なのに、中味はピュアで、卓越した能力を持つ不思議な彼女から。

バーで気が合った女性と寝てみたり、保護観察員の男性に性的いやがらせを受け、驚くような仕返しをしてみたり。
そうかと思えば、ミカエルに心惹かれた彼女は、ミカエルが銃で撃たれた傷を麻酔もせずに縫ったあとにベッドに誘う奔放なところを見せる。
ほとんど口をきかないが、口を開くときは、簡潔に必要なことしか話さない。
話すと彼女が頭がいいのがよくわかる。

終盤、ミカエルの潔白を証明するために、リスベットは、全身のピアスをはずし、
ブロンドのウィッグをつけ、ハイブランドの洋服やバッグを身に付け、ハイヒールを履いて、変装し、ある場所へ出向くのだが、そのシーンがとにかくカッコイイ!

どこから見てもセレブにしか見えないし、ちゃんと銀行員やホテルマンとのやりとりもしていて、なんだ!ちゃんとした女性として振る舞えるんじゃないか!
と思うも、帰りの電車の中でウィッグを忌々しげに窓から放り捨てる。
彼女にとっては、男性に媚を売るような女性像に吐き気を感じるのだろう。

クリスマスの夜、バイクにまたがり、いつものように皮ジャンでミカエルの元に向かう彼女の手には、彼へのプレゼントとカードが。
しかし、娘と仲良く出てきたミカエルの姿に、自分の出る幕はないと悟るリスベット。
その孤独な姿に、彼女の背負ってきた人生の苦しみや悲しみが表れていてなんとも切なくなる。

この見たことのない女優は一体誰なんだ!
と思って調べてみたら、「ソーシャルネットワーク」で主人公の元彼女を演じていた女優、ルーニー・マーラだった。
あのときは、普通のどこにでもいる若い綺麗な娘、という印象しかなかった彼女が、ここまでの演技をしたことに嬉しくもなった。

2012年アカデミー賞で惜しくも主演女優賞を逃した彼女だが、きっと今後大きな賞を取る女優になるだろう。
その彼女の出世作として、見るべき価値のある映画だ。
新しいヒロイン像を演じ切った彼女に心からの称賛をおくりたい。

スタッフTOMOKO

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