◆ヴァンパイア作品としては新味(70点)
若い女性を中心に世界中でベストセラーとなった、ステファニー・メイヤー原作の小説三部作の第一作目「トワイライト」をキャサリン・ハードウィックが映像化。
アリゾナに越してきた17歳の女子高生べラ(クリスティン・スチュワート)は、同級生の色白でミステリアスな雰囲気を漂わせる美少年エドワード(ロバート・パティソン)に出会い、好意を寄せる。だが、彼の正体は人間とともに生活できるように訓練された特殊なヴァンパイアであった。あることをきっかけに彼に助けられたべラは、彼が凄まじいパワーを発揮できることを目撃し、その正体を探り出そうと接近するが……。
高校生の学園生活を描く青春ドラマ、少し風変わりでおとなしい女子高生と美少年系ヴァンパイアとの禁断の恋愛ドラマ、ファンタジーといった三つのテイストが味わえる。
今までにヴァンパイアをネタにした作品は数多く作られてきた。そのほとんどがホラー作品だったり、『ブレイド』シリーズや『アンダーワールド』シリーズのようなヒーロー系アクション作品であったが、本作は普通の女子高生とヴァンパイアの悲壮感を漂わる恋愛模様を中心に描いたものである。かつてのヴァンパイア作品と違う点は、まずはヴァンパイアたちの見た目がごく普通の人間と同じであることだ。次は、ヴァンパイアならではの人間の首を噛みついて吸血するシーンは観られるものの、流血を強調したり牙を向いたりコウモリに変身したりといった定石通りの描き方がされていないことだ。とにかく本作は、ヴァンパイア作品としては新味なのである。ヴァンパイアが超能力を発揮させたり、仲間内で草野球をしたりといったユニークな描写も印象深くて面白いポイントだと言える。
ラストでは、エドワードと敵対するヴァンパイア一族の一人とのバトルを描いたアクションシーンが用意されており、大きな見所の一つとなっている。このバトルでは、二人のヴァンパイアは武器等を一切使用せず、超能力によるパワーだけで戦う。なかなか迫力を発揮させており、ファンタジーの要素を持った作風にマッチした描き方となっている。その上、面白さも十分に味わえるので良い。
既に続編の製作も決定しており、今後の展開が気掛かりとなる。
(佐々木貴之)