トロピック・サンダー/史上最低の作戦 - 佐々木貴之

◆とにかくやり過ぎている(75点)

 落ちぶれたアクションスターのダグ(ベン・スティラー)、下ネタが得意なコメディアンのジェフ(ジャック・ブラック)、黒人役になりきるために皮膚を整形手術で黒くしたやり過ぎ演技派役者のカーク(ロバート・ダウニー・Jr)ら五人の役者が、ベトナム戦争の英雄・テイバック(ニック・ノルティ)が執筆した回顧録「トロピック・サンダー」の映画化のために集まった。撮影が開始されたが、予算等の都合で撮影が困難となる。その後、リアリティーを追求した作品にするということで監督らにジャングルへ連れて行かれた五人は、この地で麻薬組織によるホンモノの戦闘に出くわしてしまう。

 本作は、コメディーとアクションの二つの要素をしっかりと満喫できる。『地獄の黙示録』、『プラトーン』等のかつての戦争映画のパロディーが取り入れられている点が特徴的であり、この手の作品のファンにとっては嬉しく思えることだろう。そして、下ネタや差別ネタが笑いを誘い出すがこちらは少しやり過ぎている感が強い。ハリウッドの内ネタや名作のアレコレといった登場人物の会話も興味深い。アクションに関しては、魅せ方が巧くて良い。大金が掛けられているだけにド派手な爆破シーンが何度も観られ、観る者を圧倒させると同時に楽しませてくれる。純粋な大作戦争アクション映画と肩を並べるほどの良い勝負をしているような出来栄えとなっている。他にもグロさを追求したりととにかくやり過ぎているが、こういった描写が面白さにしっかりと繋がっていることがわかる。

 本作のもう一つの注目ポイントは、やはりカメオ出演している豪華スターの存在だ。メインキャストだけでも一流スターが揃っているにも関わらず、そこにトム・クルーズ、マシュー・マコノヒー、トビー・マグワイアらが顔を揃えたことによって華やかさをより一層増すことになった。特にハゲ頭でデブなプロデューサー役のトム・クルーズの弾けっぷりが、面白可笑しくて強烈なインパクトを与えている。

 本編が始まる前にメインキャストたちによる一本のフェイクCMと三本のフェイク予告編が流れるが、これがまた面白くて笑わずにいられない。このように本作は最初から面白さをとことん追求しており、最後の最後まで様々な面白さを味わえるのである。

 ベン・スティラーは、主演だけに留まらず監督、脚本、製作、原案と一人で五役を担当。彼にド派手なアクションを魅せつけられる才腕があったということにかなり驚かされた。これなら笑いなしの大作アクション映画を撮っても問題ないかも知れない。

佐々木貴之

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