トランスフォーマー - 福本次郎

◆しなやかさはないが、重量感とメカニカルな関節の動きが再現され、ロボットたちが機械ではなく思考と精神を持った知的生命体であることを自然に納得させてくれる。しかし後半はオモチャ箱をひっくり返したような混沌におちいる。(50点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 戦闘ヘリ、自動車、ジェット戦闘機、そういった乗り物が巨大ロボットに変身する。人間のようなしなやかさはないが、重量のある質感と直線的でメカニカルな関節の動きが細密に再現され、金属細胞でできたロボットたちが機械ではなく思考と精神を持った知的生命体であることを自然に納得させてくれる。ロボットのエイリアン、しかも地球上にある機械に自由に姿を変えることができる。そのアイデアはいかにも少年が喜びそうなのだが、後半の戦闘シーンに至ってはまるでオモチャ箱をひっくり返したような混沌におちいる。

 特殊なパワーを持ったキューブという物体を探して二組のエイリアングループが地球にやってくる。暴力的なディセプティコンと平和的なオートボット。彼らはキューブの所在を記したメガネをもつサムという少年に近づくが、ディセプティコンの起こした騒動のせいで、サムは政府組織からも追われることになる。

 骨組だけの小さなロボットやオートボットたちがかくれんぼするような動きがすばらしい。人間と同じ動きのようだがどこかぎこちなく、それでいて体重を支えるための手足への力の配分が非常にうまい。生きている金属という大前提をもとに、パーツの一つ一つにまで魂が宿る職人仕事を見ているようだ。

 圧倒的な情報量とデジタルサウンドで視覚と聴覚を刺激し、考える暇を与えないマイケル・ベイの力技は健在。特に最終決戦となる市街戦シーンでは、ロボット同士の団体戦に加えて米軍の戦闘部隊も加わり、もはやそこで何が起きているのかを正確に把握するのは不可能だ。現場にいるような臨場感を覚えるようにと意図されたカメラワークは目くるめくように視点を変え、短いカットを積み重ねる。ここは俯瞰するようなシーンも挿入して全体像をつかませるような工夫も必要なのに、何が起きているのか分からないままキューブをもって走り出す主人公同様、観客の思考を完全に停止に追い込む。もう少し考える余裕を残して欲しかった。

福本次郎

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