トテチータ・チキチータ - 中野 豊

戦争・震災によって離散した家族の魂をリサイクルする、福島からの贈答ピカレスク・ムービー。(点数 60点)


(C)2012 映画「トテチータ・チキチータ」製作委員会

2007年に企画された本作は、3.11を体現した日本において撮るべきか?撮らざるべきかの二つの選択から、スマートな結論を出した結果の「希望」の物語として完成せさています。

○タイトルの意味

「トテチータ」=童謡「おもちゃのチャチャチャ」の一説「おもちゃの兵隊トテチテタ」から。「チキチータ」=スパニッシュで「小さな女の子」の意味です。

○あらすじ

太平洋戦争から60年あまりの現代。兄、母、父はそれぞれがばらばらにリーインカーネーションしていたのです。
一徳(豊原功補)は、俺俺詐欺風リフォーム業者の冴えない中年男。自殺寸前まで追い込まれていましたが東京で不思議な少女との出会い運命の歯車が不思議な回転をはじめるのです。
健人(葉山奨之)は原発事故で避難を余儀なくされた高校生。不思議な少女・凛(寿理菜)は両親が離婚し、父のふるさと福島へやって来た小学生です。凛は一徳と健人に「一徳は前世私たちの息子だった、そして健人は父、私は母だった。今、私たちを呼んでいる人がいる」と告げる。それは、戦争のとき一人生き残った妹・百合子(松原智恵子)でした。彼女は痴呆症を抱えながら福島で独居していました。
孤独を抱え人生に絶望した男が、不思議な少女に導かれて“前世で家族だった”人々と出会い、家族の絆を知り、再び人生を歩き出すという物語。主人公・一徳を実力派俳優の豊原功補が見事に演じています。(作品資料より抜粋)

「絆」はすべての日本人の心のリゾームだと思うのです。「愛」と言い換えてもいいのかもしれません。
ひとりひとりの心中はひとりひとりにしかわからないのかもしれません。精神的に病んでいようが、肉体的ハンディキャップがあろうが、生きてさえいれば希望がもてる……。妄想・空想の中にも希望はたくせると思うのです。

○福島県の現状
福島県の2012年1月現在(住民基本台帳による)の人口は198万3千人。一年で4万5千人減少しました。住民票を移動させていない人を入れるともっともっと多いと言われています。また、子供・母親を疎開させている人も多い 結果家族がバラバラになっている家庭も多いそうです。東京電力福島第一原発事故を受けた同原発から20キロ圏内並びに放射線量の高い計画的避難区域の帰還まで少なくとも5年を要するとみられ「帰還困難区域」は、福島県の11市町村のうち7市町村です。

上記のことなどを知りつつご覧いただきたい映画でもあります。

伝説・ファンタジー調で、直接被災地の画を観客に見せたりはしません。見せるのは、心のコアな一部と登場人物たちが、他人とともに生きている。。。そして絆なのです。エンタメ性が弱い(個人的意見)ので採点は厳し目です……、ご容赦を。

■2012 日本映画/上映時間:95分/監督:古勝敦/出演:豊原功補、寿理菜、葉山奨之、松原智恵子、大鶴義丹、石堂夏央、佐藤仁美、ひらがかんいち ほか

2012年3月10日よりフォーラム福島、ポレポレいわき、会津東宝にて先行上映
オフィャルサイト:http://www.totecheeta-movie.jp/

中野 豊

【おすすめサイト】