◆ファンにとっても少し理解不能と思えるようなモノばかり(50点)
未だにカルト的人気を誇る奇才デイヴィッド・リンチ監督の頭の中に存在する本質に迫るべく、自身が手懸けた数々の未公開作品を一挙に公開された。
ペンシルヴァニアの美術専門学校に在学中の頃に製作したモノをはじめとする六本の短編作品群『ザ・ショートフィルム・オブ・デイヴィッド・リンチ』、自身が開設した会員サイトのみで発表された七本の短編作品群『ザ・ベスト・オブ・ザ・デイヴィッド・リンチ』と八本の短編アニメ『ダムランド』に、日本でも公開済みのデビュー作『イレイザーヘッド』のデジタルリマスター版を加えたラインナップで日本のリンチ監督ファンに向けてお送りするというプロジェクトだ。
普通の映画好きはもちろん、リンチ監督ファンにとっても少し理解不能と思えるようなモノばかりである。アヴァンギャルドな実験的作品もあればシュールかつシリアスな作品も観られる。そして、リンチ監督ならではの悪趣味を巧妙に笑いへと変換させたアニメというように様々なテイストの作品が味わえる。だが、これらの面白さを堪能できるのは、コアなリンチ監督ファンぐらいだろう。リンチ監督作品初心者や少しかじっただけという方には、その面白さを汲み取れないと言い切れるかもだ。
リンチ監督の世界観を覗き込んだことによって、彼の奇才ぶりを改めて実感させられた。
(佐々木貴之)