「独裁」とはどれほど笑えるのか？ こんなに可笑しなモノなのだとわかってしまう、今だからつくることのできるパロディ映画の一撃！（点数 65点）
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いかにも社会派らしいタイトルですが、中身はワディア共和国のトチ狂った将軍様と影武者が現代ＮＹの市井と政治に溶け込んだフリをして大騒動……。その時世界は動くのか？それがまったく動かないという現代。
世界征服を目論むワディア共和国のアラジーン将軍様は、自分が法律、反抗分子どころか少しでもお気に召さない向きは即刻「首切」してしまうツワモノなのでした。
あのおそるべき醜怪なる化け物、アドルフ・ヒトラーが狂気をかきたてている時にノンキに甘いロマンスや愛の問題を考えたりできるものか？と語り映画『独裁者』をつくったチャップリン。
そして現代に「あのころのチャップリン」へのシンパシーを感じさせる映画人が現れたことにびっくり仰天！その男の名は、サシャ・バロン・コーエンと言います。サシャ・バロン・コーエン（Sacha Noam Baron Cohen, 1971年生まれ）はイギリスのコメディアン・脚本家・俳優・映画制作者で、文化摩擦を笑いに変えたネタでキャリアを築いてしまった男です。ジャマイカ人になりたがりのイギリス人ラッパー兼トーク番組司会「アリ・G」から、世間知らずのカザフスタン人テレビ・レポーターの「ポラット」、少しばかりイッちゃってるオーストリア人ファッショニスタ「ブルーノ」といった強烈なキャラクターをつくりこみました。
バロン・コーエンは、かけ離れた価値観や生活習慣が衝突した時の気まずい状況にユーモアや気付きを見出すことにこだわってきました。彼のイギリスのぶっ飛んだテレビ番組は、なるべくして人気を博し、映画へ飛び火。その後も飛ぶ鳥を落す勢いで、ラリー・チャールズ監督作品でハリウッドへ進出します。チャールズはバロン・コーエンと２作品で監督を務め、さらに今回の『ディクテーター』で再びタッグを組んでいます。
上出『ボラット』で世界的人気を博したコメディ俳優、サシャ・バロン・コーエンの本作は、 自由の国アメリカで身元不明となった「世界で1番キケンな独裁者」に襲いかかる人生最大の試練と恋を描いた、爆笑珍テロ・コメディ。何者かの陰謀でトレードマークのヒゲを剃られ、 将軍様は浮浪者同然に！ スーパーの店員として息を潜める将軍様の前代未聞の大逆襲が始まるという筋書き！
ひねったイカサマ・パロディで笑いたい方はこれを観ましょう。賞味期限付き映画のような気がします。
■2012年 アメリカ映画／上映時間：83分／出演：サシャ・バロン・コーエン、アンナ・ファレス、ベン・キンズレー、ジョン・C・ライリー、ミーガン・フォックス
オフィシャルサイト：http://www.dictator-movie.jp/
（中野 豊）
