◆ロック音楽と下ネタまみれの過激なギャグが満載(70点)
ジャック・ブラックが役者として売れる前に、カイル・ガスとロック好きが高じて結成したバンド“テネイシャスD”を題材にしたおバカ系音楽コメディー作品。
田舎から出てきたロック狂のJB(ジャック・ブラック)と、ギターの腕前が抜群のミュージシャンのKG(カイル・ガス)がロックバンド“テネイシャスD”を結成し、悪魔の歯でできた運命のピックを探す冒険に出る。
ロック音楽と下ネタまみれの過激なギャグが満載であり、これが本作の最大の売りモノとなっている。これにプラスして猿人系モンスターが出てくるポップな色彩が、魅力的な夢物語丸出しのファンタジー描写とパトカー数台とのカーチェイスが描かれる。この二つの描写が作品をさらに面白くさせていると言っても良い。ラストの悪魔の登場は冒険劇をベースにした作風と見事にマッチしており、描き方としては正しいと言えるし、なおかつ面白い。
脇を固める役者たちも面白い。JBとKGが訪れたギターショップの変な店員には、製作総指揮も担当しているベン・スティラーが扮している。ラストで悪魔に変身する謎の男にはティム・ロビンスが扮している。この二人の存在はとにかくインパクトが強くて忘れられない。端役で『魔法にかけられて』(06)でヒロインを演じたエイミー・アダムスも出演している。
ストーリーは簡素化されており、上映時間は93分。細かいことを考えずに音楽と下ネタ系ギャグを存分に満喫できる作品だ。ただし、下ネタが大の苦手という方には本当にオススメできないのである。娯楽映画としての面白さはしっかりと発揮されているので、この点だけは素直に評価したい。
(佐々木貴之)