テイク・シェルター - 樺沢 紫苑

疑問が多い問題のラストシーンですが、私はストレートに感動しました。(点数 80点)


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前回紹介した『メランコリア』は世界の終末の映画でしたが、
今回の『テイク・シェルター』も同様に世界の終末を暗示させる作品ですが、
その雰囲気は大きく異なります。

 
 ボーリングの機械工のカーティス。
 慎ましやかな生活ではありますが、妻と娘の三人で幸せに暮らしていました。

 しかし、嵐と黄色雨の夢を毎日のようにみるようになり、
やがてそれは「世界破滅」のメッセージのように思えてくるのです。
 嵐から身を守るために強固なシェルターを作り始めるカーティス。

 しかし一方で、彼の行動は逸脱し、社会生活に支障をきたすレベルへ・・・。
 彼の夢は「神の啓示」なのか? それとも、精神病を発病してしまったのか? 

 世界破滅に備えてシェルターを作る男。
 すぐに、「旧約聖書」の「ノアの箱舟」の話を思い出し、
聖書的なメッセージが込められているのかと思いますが、
意外なことに聖書はあまり関係ありません。

 カーティスは、統合失調症を発病したのか、それとも神の啓示なのか?
 そこが最後の最後までわからない、緊迫した心理サスペンスに
なっているのです。

 おそらく最後まで見ても、わからないか、疑問を残す人も多いでしょう。

 私は、これを見て、ホラー映画の傑作『ローズマリーの赤ちゃん』を
思い出しました。

 引っ越してきた隣人は悪魔教の崇拝者なのか? 
 それとも、主人公の妊娠中の精神不安定、妄想にすぎないのかが
最後までわからない、サスペンスホラー。
 それに似た雰囲気を持っています。

 精神病かどうか?という二者択一で映画は進んでいくのですが、
後半になるにしたがい、意外なテーマが浮かび上がってきます。

 それは、「家族」の大切さです。
 精神病であろうと、神の啓示であろうと、
最後に頼りなるのは「家族」。
 家族のつながり、そして支え合いしかないのだ、という。

 それって、心の病に限らず、
全ての危機を乗り越えるヒントではないでしょうか。

 疑問が多い問題のラストシーンですが、私はストレートに感動しました。

樺沢 紫苑

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