ティンカー・ベルと月の石 - 福本次郎

◆自分ではどうにもならない難局にぶつかったとき、頼りになるのは魔法よりも友人。様々な魔法が使えるヒロインが、いざという時に友情に救われる。映画は他人の知恵と力を借りれば物事は何倍にもはかどることを教えてくれる。(50点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 ひとりではどうにもならない難局にぶつかったとき、頼りになるのは魔法よりも友人。妖精として様々な魔法がを使えるヒロインが、いざという場面で友情に救われる。邪魔をされ、鬱陶しく感じる時もある。我慢できずに口論になり感情にひびが入ることもある。それでも相手を許し先に「ごめんなさい」と謝る。その一言こそが不可能を可能にする“魔法の言葉”であると彼女は身をもって経験する。映画は彼女の冒険を通じて、他人の知恵と力を借りれば物事は何倍にもはかどる現実を教えてくれる。

 秋の祭典に使う「聖なる杖」作りを女王から依頼されたティンカー・ベルは、親友のテレンスの協力で制作にかかるが、杖の先にはめる月の石を壊してしまう。ふたりは大げんかし、ティンカー・ベルは願いをかなえてくれる伝説の魔法の鏡を求める旅に出る。

 杖作りも鏡探しも単身やり遂げようとするティンカー・ベル。テレンスのアドバイスに耳を傾けず、道中知り合ったブレイズというホタルにもなかなか心を開かない。独立心旺盛で行動力に富むが、己がいつも正しく失敗は誰かのせいと決め付ける姿は頑張りすぎる時代遅れのキャリアウーマンのよう。決して弱みを他人に見せようとせず、頭を下げて頼みごとをするのはプライドが許さないのか、信用できないのか。いずれにせよ仲間を信じなければ自分が信頼されるわけはなく、彼女はどんどん孤独の渦に呑み込まれていく。

 やがて魔法の鏡を見つけたティンカー・ベルは、別の願い事を口にしてしまい目的は果たせない。しかしグッドタイミングで現れたテレンスに助力を求め、結局無事問題を解決する。目標に向かってまっしぐらにがんばるけれど、どこか独りよがりで周りに気配りが足りないティンカー・ベルはまだまだ発展途上。設定はいかにも子供向けだが、胸の内を隠しきれない人間的な一面が非常によく描きこまれていて、今後の彼女の成長がますます楽しみになる作品だった。

福本次郎

【おすすめサイト】