◆硬質で小難しく、中だるみする部分も少々ある(65点)
カリスマ的な革命家、エルネスト・チェ・ゲバラの生涯を描いた二部作の後編。
ベニチオ・デル・トロ扮するゲバラがフィデル・カストロと袂を分かち、ラモンという名の男に変装してボリビアに入国。この地で処刑されるまでを描く。
前編ではゲバラのヒーロー像をメインに“勝”のイメージで描いてきたが、後編の本作ではゲバラの“負”の部分を描く。
前編同様に音楽は殆ど排しており、この静寂な感じが緊張感を張り巡らせる。さらにドキュメンタリータッチの筆致が、観る者をグイグイと惹きつかせる効果を発揮させている。プロデューサーのローラ・ピッグフォードは、「前編がアクション大作なら後編はサスペンス」と言っており、こういった演出がサスペンスらしさを醸し出しているのである。
忠実かつ丁寧に描かれていることはわかるが、やはり当時の政治的状況等の予備知識が備わっていないと難解し難いという点も前篇同様。硬質で小難しく、中だるみする部分も少々あるので133分の上映時間がキツく感じるという方も少なくはないだろう。
『チェ』二部作は、チェ・ゲバラのことが大雑把に理解できるという感じなのである。
(佐々木貴之)