チェ 28歳の革命 - 佐々木貴之

◆ゲバラを詳しく知っているという方には面白い(60点)

 カリスマ的な革命家として、現在でも世界中の多くの人々に愛されているエルネスト・チェ・ゲバラの半生を描いた歴史ドラマ。前編と後編に分けた二部作という力作として仕上がり、上映時間を合計すると四時間を超えてしまう。

 その第一部である本作は、ゲバラとフィデル・カストロとの運命的な出会いからキューバ革命戦争での活躍までにスポットを当てて描いたものだ。

 監督はスティーヴン・ソダーバーグ。主人公であるゲバラを演じるのはベニチオ・デル・トロ。デル・トロは、同監督の『トラフィック』でも製作を務めたローラ・ビックフォードとともに製作も担当している。デル・トロとビックフォードがゲバラの映画化に興味を示していたのは、『トラフィック』よりも前からであった。そして、映画化が決定してからはソダーバーグ監督とビックフォードは三年間にも及ぶ徹底したリサーチを重ね、デル・トロはゲバラになりきるべく25Kgも減量したりといった本格的な役作りに挑戦した。ビックフォードは、もともとは第二部『チェ 39歳別れの手紙』のみを製作しようとしていたが、これだけでは観る者に理解し難いと思い、第一部である本作を製作したのである。

 本作は、あくまでもゲバラという一人の革命家のヒーロー像をメインに描いている。そのためなのか、劇中で描かれるキューバ革命戦争やそれ以前の状況、時折挿入される国連での演説やインタビューのシーン等が分かりにくい。これが本作の最大のマイナスポイントだ。また、ゲバラは誰からも愛されているヒーローであるにも関わらず国連では批判され、嫌悪感丸出しで罵声を浴びせられていたりするシーンが観られ、なぜなのかということが説明不足であるため、本当に意味不明に思えた。他にも退屈させるシーンも多々あるため、132分の上映時間が本当に長くて厳しい。

 ビックフォードは、本作を「大掛かりな戦闘シーンもあるため、アクション大作でもある」という。確かに戦闘シーンは爆破シーン等も観られ、戦争アクションらしい出来栄えとなっている。だが、このシーンをアクション映画の観点から観たところで単純に面白いとは思えない。それは、ゲバラの真実を描くためにこの戦闘シーンが必要であったためであり、これをリサーチした結果に基づいて忠実に描いただけで決してこのシーンを娯楽アクション映画として面白く魅せつけるために力を注いでいないからである。

 本作を観るにあたっては、前もって予備知識が必要だと言える。ゲバラを詳しく知っているという方には面白いかも知れないが、そうでない方にとっては難しいはずだ。

佐々木貴之

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