チェンジリング - スタッフ古庄

◆“真実は小説よりも奇なり”!!(85点)

 母と息子二人暮しのコリンズ家。

 ある日、母:クリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)が仕事から帰宅すると、彼女が愛してやまない息子:ウォルターが忽然と姿を消していた。。

 その日から、必死に息子を探し続けるも有力な情報も得られぬまま数ヶ月経った、そんなある日・・・

 「息子さんが発見されました!」というロス市警からの連絡が!!

 喜び勇んで迎えに行くと、そこに現れたのは、見ず知らずの子供だった・・・。

 「私の息子ではない!」「息子を探して!」と泣き叫び懇願するクリスティン。

 しかし、警察は「息子さんに間違いない!」と言い、クリスティンを全く相手にしようとしない。さらに驚くことには、見ず知らずのその子供までもがクリスティンを“ママ”と呼ぶのだった!!

 この子供は一体誰なのか!?本当の息子はどこにいってしまったのか!?

 予告編でおわかりのとおり、ここまでは完全なミステリーなのですが、“真実は小説よりも奇なり”実話が元の今作、一つの行方不明事件(ミステリー)だけでは終わらなかった。

 序盤は、愛する我が子が消えてしまったことに身を裂かれるような悲しみと、どこまでも闇の中にいるような不安に、ただ耐え、泣いてばかりの弱々しい母親だったクリスティン・・・。その悲痛な姿に、観客も心を痛めながら見守るのだが・・・

 ストーリーが展開していくうち、本来、一番頼りになるはずの警察から予想外の仕打ちを受け始める。警察に絶望し、怒り、いつしか、息子の生存だけを信じ、そんな警察組織にたった一人で立ち向かうようになるクリスティン。

 我が子のためならば、どんな困難にも屈せず、自分の信念を貫き通す母親の姿に、徐々に強く、逞しくなって行く様に、激しく心を揺さぶられる。

 熱いものがこみ上げてきます。

 単に、“息子の行方を心配する母親の姿に涙を誘う”というだけではなく、当時の社会と腐敗した警察の実態を絡めて、前半は母親の真の強さ、深い愛をよりしっかりと描いているのです!

 そして、クリスティンが社会に投じた一石が大きく波紋を広げていき、一体どのように事件は終息していくのだろうか・・・息子のウォルターは無事に帰ってくるのだろうか・・・警察組織とクリスティンの状況に内心ハラハラ、熱い視線で見守っていると、後半は一気に、予想もしない方向から事態は急展開を見せていきます!

 ここからはなんとサスペンス的要素が加わって、さらにぐいぐいとストーリーに引きずり込まれていきます。(また、ここにきて改めてこれが実話だということに、かなりの衝撃を受けます。)

 もともと、“息子が行方不明になり、見知らぬ子供が自分をママと呼ぶ”というミステリーから始まって、“腐敗した警察の権力に立ち向かう”というストーリー、そして“息子の行方におけるサスペンス”、枝葉が分かれた話がここに来て一気に一つの大作としてまとまっていきます。

 一つの話から、他へ広がった展開では、つじつまがあわないことや、なにやら誤魔化されたような感じが残ることがありますが、本作は見事に違和感なく、クリア。

 ストーリーの内容は悲しみ、不安、怒り・・・と負の感情ばかりが渦巻く、暗く重たいものであるはずなのに、ラストに向かって壮大なスケールへと展開していく様子は不思議とすっきりとしたような、心に温かなものが残るような感動を受けます。

 何より、母親の強さ、母親の愛ってなんてすごいのだろうと改めて感じる瞬間でもありました。

 事件解決と同時に希望の光がさすような印象を与える演出があったからなのかもしれません。実話ということもあり、うすうす勘付けるラストではあったものの、私はこれでよかったと思います。(ネタばれになってしまいますので、詳しくは控えさせて頂きます☆)

 アンジェリーナ・ジョリーの熱のこもった演技も申し分なくすばらしかったと思います。それに私は今作、登場人物の名前もほとんど実名、多少の脚色はあるものの、この衝撃的事実を丁寧に整理し、描かれたことにクリント・イーストウッド監督のすばらしさはもちろん、監督の心の柔らかさ、優しさをも感じられたような気がしています。

 多くの人に観ていただきたい作品の一つになりました! 熱くお勧めしたいと思います!

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