チェンジリング - 佐々木貴之

◆信念を貫き通して悪に立ち向かう姿が好印象(85点)

 1928年のロサンゼルスで実際に起きた事件を映画化。監督はクリント・イーストウッドで、今回は出演はせずもっぱら裏方に徹した。元々はロン・ハワードが監督を務める予定だったが、スケジュールの都合で降板したためイーストウッドが登板することとなった。

 電話会社に務めるシングルマザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)は、一人息子のウォルター(ギャトリン・グリフィス)と二人暮し。ある日、急な仕事から帰宅したクリスティンは、留守番をさせていたウォルターの姿がないことに気づく。探し回っても見つからず、警察に通報する。五ヵ月後、ロス市警のジョーンズ警部(ジェフリー・ドノヴァン)からウォルター発見の知らせを聞いて駆けつけたクリスティンが見たウォルターは、外見が全く違う少年だった。

 アンジェリーナ・ジョリーが闘う普通の主婦を演じる。アクション作品では武器と肉体で敵に立ち向かってきたアンジー。本作では、息子誘拐事件の背景で描かれる腐敗した警察、不当な権力に不撓不屈の精神と息子に対する愛情を持って心で闘う。警察側から精神異常者として無理矢理に精神病院に収容されたりと、理不尽で酷すぎる目に遭いながらも屈服することなく信念を貫き通して悪に立ち向かう姿が好印象だ。

 劇中で描かれる不条理な悲劇は観る者を心底苛立たせ、これらの出来事が実際に起きていた、行われていたと思うと驚愕させられると同時に益々腹が立ってくる。

 文芸作品のような格調の高い雰囲気、二転三転するストーリーで見応えのある重厚な作品に仕上がっている。観る者をグイグイと惹きつける衝撃的な内容は、142分の長さを感じさせない。悪徳警部ジョーンズ役のジェフリー・ドノヴァン、クリスティンに助けの手を差し伸べるグスタブ牧師役のジョン・マルコヴィッチといった脇役陣も良い芝居をしていて印象的だ。

 不当な権力、汚職に手を染めて腐敗する政府。これらは現代社会でもチラホラと問題になっているため、永遠のテーマだと言える。イーストウッド監督は、80年前の事例を引き合いに出して現代の人々にこの事実を叩きつけ、今後このような問題に直面したときに個人、社会はどうすればよいのかを考えさせる。

佐々木貴之

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