◆ブライアン監督ならではのファミリー向けコメディーのテイストとジャッキーのカンフー仕込みの体当たりアクションが融合(70点)
ジャッキー・チェンのハリウッド進出三十周年記念作品であるスパイ・アクション・コメディー。監督は、ファミリー向け作品を得意とするブライアン・レヴァント。
ショボい中年のペン販売員ボブ(ジャッキー・チェン)の裏稼業はCIA情報員だが、隣近所に住む一男二女を抱えるシングルマザーのジリアン(アンバー・ヴァレッタ)との結婚を考え、スパイ稼業を引退しようとしていた。ある日、ジリアンから子供たちの子守を頼まれて引き受け、その際に長男イアン (ウィル・シャドリー)がボブのPCからロシア当局の極秘データを誤ってダウンロードしてしまう。これによってボブらは陰謀に巻き込まれてしまう。
ブライアン監督ならではのファミリー向けコメディーのテイストとジャッキーのカンフー仕込みの体当たりアクションが融合した他愛のない作風に仕上がった本作。ジャッキーの格闘アクションが随所に散りばめられているのが何よりも好ましく、後半シーンに至っては自転車やフライパンを武器に面白可笑しい攻撃を繰り出したりと実に印象深い。とにかく定石通りのジャッキー・アクションが思う存分に楽しめるのだ。
また、スパイ映画ならではの小道具、ボブを嫌っていた子供三人が次第にボブに心惹かれていく様子も魅力的だ。中でもイアンが将来はボブのようなスパイになりたいと思ってボブを追った結果ピンチに陥るが、ここでスパイになれる才能が見出されたりというシーンは、観ていて実に微笑ましい。三人の子供、ジリアンのキャラクターもよく描かれている。
ジャッキーは、自身の記念作品として誰もが楽しめるような無難な作品をチョイスしたのである。
(佐々木貴之)