ダニエル 悪魔の赤ちゃん - 前田有一

邦題は素晴らしいが中身はありがち(35点)

 ラリー・コーエンという脚本家・監督は相当なアイデアマンで、最近では当サイトでも絶賛した「フォーン・ブース」「セルラー」といったサスペンスが好評だ。

 ただ映画ファンの間では、昔はホラーの脚本を書いていた人、というイメージが強い。本作のオリジナルである「悪魔の赤ちゃん」(73年、米)などはその代表作といえる。80年代にかけて3本作られたこのシリーズは、愛すべき赤ちゃんが恐怖の対象になるという、意外なアイデアで人々を驚かせた。

 大学院生のレノア(ビジュー・フィリップス)は、恋人の子供を身ごもるが、熟慮の結果出産することに決める。ところが、予想外に早く胎児が成長し、帝王切開で緊急出産することに。そしてその直後、分娩室で驚くべき事件がおきる。

 わんぱく赤ちゃんは成長も早く、あっという間に首も据わる。おいたが過ぎて、近寄る生き物を惨殺する癖があったりするが、すくすくと元気に育ってゆく。人類の安全保障上は、あまり望ましくないことであるが。

 カトリック的価値観からすると大変望ましい、中絶反対キャンペーン的内容になっている点が興味深い。全国の教会で、すすんで上映される可能性はもちろん無い。

 かわいい赤ちゃんことダニエルくんの謎が明らかになるくだりでは、楽天の三木谷社長が怒り出しそうな展開になり、苦笑を誘う。

 ほかにも、昔なつかし気分になれるチープな特撮や、ゴミ箱赤ちゃんなど笑える場面は多々あれど、名作傑作を期待する人には厳しい。何も期待せず、笑い飛ばしながら見られる人なら大丈夫だろう。

 あるいは赤ちゃんのいるご夫婦なら、お子様をじい様ばあ様に預け、夜のドライブがてら水入らずで見に行ってみてはどうか。帰ったら、リアルダニエルくんごっこもできる、おすすめだ。

前田有一

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