ダイアリー・オブ・ザ・デッド - 佐々木貴之

◆ドキュメンタリータッチのゾンビ映画(70点)

 ペンシルヴェニア州の山奥で、大学の映画学科の学生たちが卒業用作品としてホラー映画を撮影していた。しかし、彼らは撮影中に「死体が甦り、人々を襲撃している」というニュースをラジオ放送で知る。その後、学生たちはその真実を目の当たりにする。このトンデモナイ状況を生存者たちに伝えることを使命とした学生たちは、危険が迫り来る中、ビデオカメラで撮り続ける。

 ゾンビ映画の巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督の待望の最新作は、何とドキュメンタリータッチのゾンビ映画として仕上がった。この手法は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)をはじめ最近ではパニック作品の『クローバーフィールド/HAKAISHA』(08)、『REC/レック』(07)でお馴染みであるが、ゾンビ映画では本作が初めてである。手持ちカメラで捉えた主観映像は臨場感が溢れ、緊迫感も醸し出されていて観る者にリアルな恐怖を感じさせる。

 ロメロ監督作品と言えば、社会派テイストが特徴だ。本作では情報化社会をネタにしている。それは、誰もが情報手段を駆使できるようになったことから、メディアが安易化していくことを訴えたものである。他にも人と人が殺しあう戦争もネタにしている。

 本作は低予算で撮影日数も短期間、有名スターの出演もなしという具合にインディーズ作品を意識したような出来栄えとなっている。娯楽色はあまり感じられず、数あるこの手の作品と比較すると地味な感じあることは否めない。それでも前半の病院内でのゾンビによる襲撃をはじめとする見せ場はしっかりと盛り込まれており、ゾンビ映画らしさだけは忘れることなく描かれていることが救いだと言える。

 巨匠による新感覚ゾンビ映画は、ファンなら必見だと言える。興味のある方は、娯楽色を期待しないことだ。

佐々木貴之

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