◆息も尽かせぬハードアクション(85点)
あのSFアクション映画の金字塔『ターミネーター』シリーズが、第四弾として前作から六年ぶりにスクリーンに帰って来た。前三作が“審判の日”という名の核戦争を阻止すべく人類軍と機械軍“スカイネット”の戦いを描いたが、本作は新三部作の第一章として審判の日から十年後を舞台に、三十代のジョン・コナーが人類軍のリーダーとなって機械軍が支配する世界に挑む。主役は、アーノルド・シュワルツェネッガーが公務で多忙のため、クリスチャン・ベイルに代わった。
2018年。審判の日を過ぎても生き残った人々は人類抵抗軍を結成し、ジョン・コナー(クリスチャン・ベイル)は軍のリーダーとなってスカイネットと戦っている。ある日、ジョンは人間と機械のハーフであるマーカス・ライト(サム・ワーシントン)に出会い、将来、ジョンの父親になる少年カイル・リース(アントン・イェルチン)がスカイネットに拉致されたことを知らされ、進入を手引きしてもらう。
監督は『チャーリーズ・エンジェル』二部作でお馴染みのマックG。子供の頃からお気に入りだった本シリーズを監督するにあたり、彼は前三作を徹底的に調査して取り組んだとの事。その結果、前三作で描かれた一部のシーンを似通わせたり、決めゼリフ「アイル、ビー、バック!!」もちゃっかりと使ってみたりという具合に尊敬の念を込めて作品の基本を押さえて仕上げた。
また、マックGのアクション演出や見せ場作りも優秀だ。とにかく殆どのシーンが爆破、銃撃といったド派手なアクションばかりで彩られており、これぞまさに息も尽かせぬハードアクションだ。この徹底したアクションは、万人ウケを狙った誰もが楽しめるようにという感じだとも捉えられる。
ストーリーもアクションを中心に魅せつけるということもあってなのか分かりやすく簡素化されており、アクションを存分に満喫しながらも内容をスラスラと理解できる。ストーリーの根底には、“戦争に対する批判”、“危機的状況に立たされても生きること”、“人間とは何か?”といった人間らしさの本質があり、作品に重厚さを与えている。
ビジュアル面も完璧に仕上がっており、彩度を落とした映像が荒廃したダークな世界を更に荒んで廃れた感じを強調させており、これが魅力的な世界観として仕上がっている。
終盤では、本シリーズのファンにとっては嬉しいプレゼントが用意されている。それは、前三作の主役の登場だ。どのような形で登場するのかは、見てのお楽しみだ。これに関しては、作品の性質を尊重するべく用意されたものだとも捉えられる。
SFアクション映画、大作娯楽映画としては面白くで良い仕上がりだった本作。サム・ワーシントンが主役クリスチャン・ベイルを喰っていたことが印象深かったので、この続きはサムが主役登板となってしまうのか?!
(佐々木貴之)