ソラニン - 渡まち子

ソラニン

© 2010 浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会/写真:太田好治

◆どこにでもいるような20代の恋人と仲間たちの日常と心情がリアル(65点)

 都会の片隅で寄り添うように生きるカップルの存在証明を、素晴らしい歌が具現化するリリカルな青春物語だ。アジカンの曲と宮崎あおいの熱唱が忘れがたい。OL2年目の芽衣子は自由を求めて会社を辞める。一方、同棲中の芽衣子の恋人で、フリーターの種田は音楽の夢をあきらめきれずにいた。「ソラニン」という曲を書き上げた種田は、仲間たちと一緒にレコード会社に持ち込み、手応えは感じるものの、アイドル歌手のバックバンドにならないかと誘われ、やりきれない思いを抱く。そんなある日、種田はバイク事故に遭ってしまう…。

 夢をあきらめるほどまだ老いてはいない。かといって現実を忘れて夢を追うほどもう若くはない。どこにでもいるような20代の恋人と仲間たちの日常と心情がリアルだ。芽衣子は、今以外の自分になりたいのだが、それが何なのか彼女自身にも分からない。そんな彼女は恋人の死という耐え難い現実に遭遇して気力を失うのだが、芽衣子をもう一度輝かせるのが、種田が作った歌「ソラニン」だ。今までギターを持ったことも人前で歌ったこともない芽衣子のチャレンジは、そのまま初めて映画の中で歌を披露する宮崎あおいのみずみずしさとピッタリと重なって、切なく響いてくる。歌唱力やテクニックではなく気持ちで歌う芽衣子のサウンドには、小手先ではない力強さがある。クライマックスの、芽衣子とバンドの仲間たちによるライブは圧巻だが、彼らの目標はプロデビューやコンテストでの優勝などではないところがいい。あくまでも大切な人間を失った悲しみを乗り越えるために歌うという点が素晴らしく、ピュアなその思いが感動を呼ぶ。楽曲はASIAN KUNG-FU GENERATIONによるもので、アップテンポのノリのいい曲でありながら、やるせないメロディは思わず口ずさみたくなるものだ。ソラニンとはじゃがいもの芽にある毒素のこと。「さよなら」と歌い叫ぶことで新しい未来が見えた気がする。

渡まち子

【おすすめサイト】 
Warning: file(): php_network_getaddresses: getaddrinfo failed: node name or service name not known in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 80

Warning: file(http://www.beetle-ly.net/linkservice/full_nor/group73): failed to open stream: php_network_getaddresses: getaddrinfo failed: node name or service name not known in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 80

Warning: shuffle() expects parameter 1 to be array, boolean given in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 82

Warning: Invalid argument supplied for foreach() in /export/sd09/www/jp/r/e/gmoserver/6/1/sd0158461/cinemaonline.jp/wp-content/themes/blog/sidebar.php on line 83

 

File not found.