◆宮藤官九郎の脚本と三池崇史監督のアイデアが冴えて、ハチャメチャながらどこか説得力がある世界観が面白い(50点)
エイリアンを倒して白黒つけたゼブラーマンが再び立ち上がる異色ヒーロー映画の続編。西暦2025年、ゼブラシティとなった東京。そこでは、艶かしいゼブラクィーンの歌声の中、殺人OKのゼブラタイムが導入されていた。教師の市川新市は警官から発砲されて意識を失う。目覚めるとそこはゼブラシティの犠牲者たちが集まるコミューン「白馬の家」だった。新市は15年間の記憶を失っていたが、かつて自分はゼブラーマンだったことを知る…。
変身ヒーローに憧れるさえない小学校教師・新市が本物のヒーローになったのが前作の「ゼブラーマン」。だが払った代償は大きく、家庭は崩壊、マスコミの餌食のようになった彼は廃人同様になる。この皮肉な設定が効いているのだが、15年間の記憶を失って目覚めた彼が見た世界は、白と黒に分けられた異様な世界だ。制限時間付きの虐殺を容認することによって犯罪率を下げた都知事とその娘ユイは世界征服を狙っている。ユイはスーパーアイドルで、扇情的に歌い踊るゼブラクイーンなのだが、彼女の誕生の秘密と、謎の遠心分離機の存在が、白ゼブラと黒ゼブラの戦いをお膳立てする。宮藤官九郎の脚本と三池崇史監督のアイデアが冴えて、ハチャメチャながらどこか説得力がある世界観が面白い。主人公の敵役は仲里依紗演じるセクシーなゼブラクイーン。これがとことんエロいのだ。カメラワークなど限界ギリギリ。今まで明るくキュートな役柄が多かった仲里依紗の新しい面が見られたが、意外にもドスの効いた声は迫力があり、ただのカワイイ女優ではないことを証明してみせた。再び覚醒したゼブラーマンは、白黒つかないので、驚きの方法で解決してみせるが、これがアホらしくも理にかなっていて笑わせる。地球存亡をかけた大バトルだが本当の敵は自分自身。脱力系の決着は文字通り力が抜けるが、仲里依紗のコスプレを楽しめれば満足度は上がるだろう。
(渡まち子)