セントアンナの奇跡 - スタッフ古庄

◆自分にもっと歴史の知識があればよかったのですが(70点)

 実話を織り交ぜて綴られたジェームズ・マクブライトさんの同名原作「セントアンナの奇跡」をスパイク・リー監督が映画化。

 っと聞きましても・・正直言ってどちらの方もピンとこない私でしたが(スミマセン・・汗;)、あらすじを読むに興味を惹かれて観に行ってきました。

 その内容は(あらすじ)・・・

 1983年ニューヨーク、郵便局に勤める初老の男性が、ただ切手を買いにきた客を突然射殺する。実直で、経歴もとてもクリーンなこの男(犯人)にいったい何があったのか。捜査が進められるうち、この男の部屋から歴史的価値の高い彫刻の頭部が発見され・・・事件は謎を深めてゆく。そして・・・この不可解な事件の鍵は1944年のイタリア、トスカーナにあった―。

 これだけ読むと、サスペンスか!?とお思いになるかもしれませんが、(冒頭は確かにそうなんですが)本編の約9割は戦争ドラマです。

 1944年、第二次世界大戦真っ只中のイタリア、トスカーナ地方でナチス・ドイツによって行われたある衝撃的な過去が、黒人だけのアメリカ兵部隊に焦点を当てつつ明かされていきます。

 歴史に疎い私は恥ずかしながら、どこまでが事実でどこからがフィクションなのか、はっきりとわからなかったのですが、この衝撃的な内容には「実話を織り交ぜて綴られた・・」という前書きがずっしりと心に圧し掛かる思いです。

 と、言いましても“パルチザン”や“ムッソリーニ”“ファシスト”等、聞き覚えはあるもののはっきりと理解していない語句や名称が多く出てきては、自分の知識の無さゆえ仕方ないのですが、全く説明もないため、時折、登場人物を含め現地住民の行動や心理状態等が理解できなかったり・・・とにかく内容を深く考えるどころかストーリーについていくことで精一杯!でした。。

 しかし、人種差別の問題や戦争批判を強く訴えかける内容であった、ということは容易に理解でき、台詞ひとつひとつにおいても心に深く染み入る、時に突き刺さる、ものがありました。

 ――同じ神に同じ言葉で祈るのに――家族を想い、友を想う心も同じなのに――どうして国や肌の色が違うということで争うのか――

 ――黒人は母国から見下されるが、離れた他国では人として対等に扱われる、こんなおかしなことがあるだろうか――

 戦争は憎しみしか生まない。同じ人間を傷つけて一体何が残るというのでしょう。。

 肌の色が違うからどうだって言うんだ!? 国が違うから何だって言うんだ!? そんなことどうだっていいじゃないか!!

 そんなありきたりな言葉でしか表現できず、もどかしいですが、そんな思いを抱かずにはいられない映画です。

 戦争映画はやはり同じ思いに駆られますね。。

 しかし、当時(ストーリー中)も同じように考えていた人々が存在し、黒人の兵士と白人の男の子が絆を深めていく状況(展開)に、当初は困惑し抵抗を見せていた周囲も、いつしか認め、応援するようになってゆきます。このあたりはもう、言わずと知れてぐっとくる場面の一つです。

 戦争という、いつなんどき自分も含め身内や友が殺されるかもわからない緊迫した状況下で、しかも“他国の奴は敵だ!”もしくは“下等だ”と吹き込まれている中、それでもそんな偏見をおかしいと感じ、国を超え、言葉を超え、他人を思いやれる人たちがどの国にもどの集団にも少なからずいる! いた! ということに、唯一の救いを感じます。

 憎しみを生むのも人間ならば、愛情を育むのもまた人間なのですよね。。

 っと・・このように。。

 あまりにこの戦争ドラマ(9割)が濃いなので、冒頭の前ふりをすっかり忘れてしまうのですが・・・

 こんなに重い内容で、しかも冒頭も不可解極まりなく残忍な出来事から始まったのに、重苦しいだけに終わらなかったことが、まさに『奇跡』です!!

 鳥肌が立ちました!

 全くもって終盤まで、過去の出来事(戦争ドラマ)と現在(冒頭の事件)が結びつかず、どうやって終結させる気だ!?っと観ている方がそわそわしてしまいましたが・・・

 「おお!そうきたかっ!」っと驚きでした!(冒頭部分をすっぽり忘れていればいるほど驚くかもしれません)

 ちょっと・・「さすがにそれはフィクションしすぎだろ(笑)」っと思わずにもいられなかった部分はあるけれど(笑)それでも「いい! もういいよ! これでいい! よかった! よかったよ!」っとありえ難い、まさに“奇跡”に涙する展開でした。

 ラストに主人公ともども、観客も救われる思いではないでしょうか。

 私としましては、観終わってからも理解できてない箇所の方が多い気がする作品で(汗;)、「冒頭の部分をもう一度巻き戻して!!」「今のところ、もう一度!!」と、映画館では到底無理な要望をお願いしたくなる内容でもあり、第一にとても笑えるような内容ではなかったけれども、(笑えるように作っている箇所もありましたが、イマイチアメリカンジョーク?が理解できないお堅い日本人なもので・・すみません。汗;)いい作品だったと思います!

 かなり粗引きな内容で、歴史をしっかり把握されている方か、観賞前に多少知識を頭に入れて観に行かれる方でなければ観るに苦しいかと思いますが、作り手の鋭いメッセージはズサズサ突き刺さり、平和を願う多くの方々には是非観て頂きたい映画です。

 ※繰り返し、巻き戻してじっくり観るた方が良い気がしますので、個人的にはDVDの方がお勧めですけども(笑)

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