◆ケレン味抜群の3D映像を楽しもう(70点)
ご存じ、ジュール・ベルヌの小説「地底探検」を下敷きにした作品。科学者と甥っ子、美貌の山岳ガイドが、地下の世界に落ちこんで、不思議な現象や太古の動植物と遭遇するが、脱出路を探すうちに地底火山の噴火が迫り……。“地球の中心”に光差す大空洞があったり、そこに恐竜や空飛ぶピラニアがいたりと、現在の科学知識からすればかなり噴飯ものの設定も多いが、そこはSFの古典に敬意を表し、割り切って楽しむしかない。
楽しむためのツールは特製の眼鏡。そう、本作は3D映画なのだ。オープニングの社名ロゴに始まって、吐き出した水や巻き尺といった小ネタから、ゴツゴツした岩山、ジェットコースターのようなトロッコ、恐竜に食虫植物と、すべてが飛び出す! 近年公開された『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』や『ティム・バートンのナイトメアー・ビフォア・クリスマス/ディズニー デジタル 3-D』などと比べても、そのケレン味の生かし方は抜群だ。テーマパークの立体映像アトラクションで腕を磨いたエリック・プレヴィグ監督は、3Dというギミックの使い方をさすがによく心得ている。
外国映画は字幕版で観るのが基本と考える筆者も、こうした3D映画だけは吹替版で観ることをお勧めしている。字幕に目を奪われることなく、スクリーンの隅々に配された驚きやお楽しみを堪能しよう。そして恥ずかしがらずに飛び出してくるものに手を伸ばしたり、キャーキャー叫んでよけたりしよう。同じアホなら踊らにゃ損々。
(町田敦夫)