◆華やかな消費を送ることが生きている証のようなヒロインが、欲望のおもむくままに暴走し、アブダビにまで飛んで傍若無人の限りを尽くす。人生を貪欲に迷いなく楽しもうとする突き抜けた哲学はもはや見事としか言いようがない。(40点)
どれほど景気が後退しようとも摩天楼の輝きはまったく色あせず、世界の中心としての魅力を放ち続けるニューヨーク。そこで、高級車に乗りコンドミニアムに住み華やかな消費を送ることが生きている証のヒロインが、欲望のおもむくままに暴走する。あまりにもバブリーなゲイカップルの結婚式に始まり、家事をまったくせずファッション誌のグラビアのような暮らし、さらに今回は中東・アブダビにまで飛んで傍若無人の限りを尽くす。わがままし放題なのに周りはひれ伏す、そんな彼女を見て同性の観客は日ごろのうっぷんを晴らし、溜飲を下げているのだろうか。
結婚2周年を迎えたキャリーは夫との間に隙間風を感じ始めている。堅実な結婚生活を送っているシャーロットとミランダも思い通りにならない日々に爆発寸前。折しもアラブの富豪と知り合ったサマンサのおかげで4人はゴージャスなアブダビ旅行に招待される。
セレブライフの中でもリアリティがちりばめられていた前作とは違い、夢のようなシチュエーションばかりが強調される。個室つき飛行機から宮殿を模したホテル、彼女たちにかしずくイケメンボーイ、そして偶然の出会いとナイトライフ。だが、彼女たちはイスラムの風習などお構いなしにハジけまくる。古臭い風習を破るのはある種のスリルを伴うものだが、地元民の感情をあえて逆なでするサマンサの行為には特に不快感を覚える。いくら空港で愛用のサプリを没収されて精神的に不安定になっていてもやりすぎ感は否めない。
その後、公衆わいせつでサマンサが逮捕されたのが原因で4人はホテルを追い出された上、市場でひと悶着あるのだが、なんとか無事帰国。留守中のトラブルも万事解決し、4人は日常に戻っていく。しかしそれは、パーティとショッピング、デートと会食に明け暮れる非日常的な毎日。人生を貪欲に迷いなく楽しもうとする彼女たちの突き抜けた哲学はもはや見事としか言いようがないが、フルコースの後にデザートを詰め込むような過剰な満腹感が残る作品だった。
(福本次郎)