◆人間と話が出来るモルモットが活躍するデジタル3Dのアクション映画。製作のジェリー・ブラッカイマーらしい、大味だが豪快な映像が楽しめる(66点)
完全に子供向けの話なのだが、子供が見て楽しいかどうかは微妙だ。主役のモルモットはリアル過ぎて余りかわいくない。実写とCGアニメーションの合成が巧み過ぎて、生き物の感じがしない。擬人化され過ぎているのだ。むしろ、大人の方が楽しめるかも知れない。製作はジェリー・ブラッカイマー。ストーリーは単純で大味だが、彼らしい豪快な映像を楽しめる。
巨大電器メーカーの「世界破壊計画」を阻止するため、人間と話すことが出来るモルモットで作られたFBIの特殊部隊Gフォースが、ハイテク機器を駆使して活躍するストーリー。モルモットのメンバーたちは定番通り、クールなリーダー、熱血漢のタフガイ、セクシーなクンフー使いの美女、お笑い担当のドジ、とキャラクターがはっきり分けられている。メンバーたちは身内のFBIからも存在を認められず、極秘捜査を邪魔したとして、逆に捕獲されそうになる。FBI上層部から逃げながら、悪の組織の野望阻止を目指すという、いろんな意味で全く予想を裏切らない定番そのままのストーリーは、むしろ安心して見ていられる。
まず、デジタル3Dが良かった。「アバター」のように奥行きの表現重視の余り飛び出さない設計ではなく、はっきりと飛び出す設計になっている。モルモットたちが空からパラシュートで降り立つ場面など、かなり飛び出して見えた。コーヒーメーカーが変形してモンスターとなっていく場面は、「トランスフォーマー」(2007)を思わせる。ハエがハエトリソウの間をすり抜けていくのをハエの視点で描いた映像や、モルモットたちのハイテク・カーと人間の車とのカー・チェイスなど、スリリングな映像が随所にある。それを楽しめば、あとはどうでもいいのだろう。デジタル3Dの娯楽作としては、十分に水準に達しているといっていい。
(小梶勝男)