◆ホラー映画としての面白さは味わえるので良し(70点)
2005年に実際に起きた未だに解明されていない事件を基に作られたショッキング系サスペンス・ホラーで、監督は新人ブライアン・ベルティノ。
友人の結婚披露宴を抜け出したクリスティン(リヴ・タイラー)とジェームズ(スコット・スピードマン)は、別荘で良いムードに浸っていた。午前四時にも関わらず、誰かがドアをノックする。ドアを開けると髪の長い女が「タマラはいますか?」と尋ね、「そんな子はいない」と言ってドアを閉める。その後、ジェームズは煙草を買いに行き、クリスティンが一人になったところ再び誰かがドアををノックする。だが、その音はだんだんと激しさを増し、クリスティンは恐怖感を抱く。ジェームズが家に戻ってからは、二人は恐怖の餌食にさらされてしまう。
実話が基で家に何者かが侵入してくるという題材は『THEM ゼム』でも描かれ、よく似た内容の作品は結構あるのでうんざりさせられてしまう。そこに『ファニーゲームUSA』のような不条理な要素を加味して描かれる。
この手の作品ならではの音による恐怖感の醸成や緊迫した雰囲気はしっかりと感じられ、ホラー映画としての面白さは味わえるので良しとするが、このような魅せ方もありきたりで新味がない。もっと趣向を凝らせた魅せ方にしたりといった工夫をして欲しかったが、監督が新人ということを考えるとこの程度の出来栄えでも十分かと思える。
上映時間は85分と短めで全体的に他愛もないB級ホラー作品という感じの本作は、既に続編の製作も決定している。続編がこれを上回る仕上がりになることを期待したい。
(佐々木貴之)