◆がんばってはいるものの盛り上がらないアクション(60点)
人気格闘ゲームの二度目の実写映画化。今回の映画化はジャン・クロード=ヴァン・ダム版の続編でもなく、人気キャラクターのチュンリーを主役にしたオリジナルストーリーである。
裕福な家庭で両親の愛を注がれ、ピアニストになることを夢見ていたチュンリー(クリスティン・クルック)は、ベガ(二ール・マクドノー)率いる犯罪組織シャドルーの連中に父を拉致されてしまう。十年後、チュンリーは父の行方を追うことを決意し、厳しい修行を重ねてシャドルーに挑む。
監督はジェット・リー主演の『ロミオ・マスト・ダイ』(00)や『ブラック・ダイヤモンド』(03)を手懸けたアンジェイ・バート・コウィアク。本作は低予算ということもあって見せ場となるアクションは地味な感じであり、終盤で観られる建物の爆破シーンも不発しているため残念な結果となっている。コウィアク監督の腕が鈍ってきたこと、低予算では陳腐なアクションしか描けないことが明らかとなったのである。良いポイントを挙げれば、随所に格闘シーンを中心としたアクションを散りばめて退屈させないような作りにしたことだ。
原作であるゲームが格闘モノということで作品も格闘に焦点を当てたものかと思いきや、チュンリーをサポートする男ゲン(ロビン・ショウ)に会うべくバンコクに赴き、この地で様々な出来事に遭遇したり修行したりといった冒険映画的な要素や、一方でシャドルーを追跡するナッシュ刑事(クリス・クライン)と相棒の女刑事の活躍をポリスアクション風味に描いたりと、他ジャンルの特徴を取り入れてストーリーに幅を利かせている。これが格闘のイメージを薄れさせて単なる普通のアクション映画という感じにしてしまったのである。
ありきたりなストーリー、がんばってはいるものの盛り上がらないアクション、知名度が低いキャスティングというように完全なB級娯楽アクションとして仕上がったのである。
(佐々木貴之)