ホラー映画らしさを存分に醸し出すことに成功しているが、ショック描写や恐怖感はうす味。(点数 50点)
(C)2011 Rhayuela Cine S.A. – Sudestada Cine S.R.L. – Alta Produccion S.L.U.
コロンビアを舞台にした戦争ホラー映画で監督はハイメ・オソリオ・マルケス。
ゲリラによる襲撃が原因で山間部の基地との連絡が途切れ、現地に派遣された9人の特殊部隊員。
そこには兵士たちの姿はなく、鎖でつながれた女と驚くべき記録が書かれた業務日誌が残されていた。
9人の兵士たちは、得体の知れない恐怖によって次第に疑心暗鬼にかられていく……というお話。
戦争映画、ホラー映画…両ジャンルでも重要視される緊迫感を持続させると同時に、霧によって寒々しく思えるような空気、音による恐怖感を煽り立てる演出といったホラー映画らしさを存分に醸し出すことに成功しているが、ショック描写や恐怖感はうす味。
鎖でつながれた女が登場してからは本格的にストーリーが進展する。
鎖でつながれた女はまともに話すことが出来ずにわめいているだけという不気味な存在であるため、彼女による恐怖がとことん味わえるのかと言えば、そうでもない。
あくまでも、9人の兵士たちが疑心暗鬼にかられ、お互いを信用できずに激しく衝突し、パニックになっていくのが大きな見所なのである。終盤では、足を負傷した兵士の片足切断シーンという本作で唯一の痛々しいシーンが観られ、これがもっともインパクトの強いシーンだと言っても良いだろう。
上映時間は107分だが、もっとコンパクトに90分程度にまとめていればもっと観易かっただろう。
少々まどろっこしいのがマイナスポイントだ。
ハリウッドでのリメイク権を獲得しているらしいが、ハリウッド版こそオリジナル版を超越する面白い作品に仕上がることを期待したい…。
(佐々木貴之)