ジョン・レノン,ニューヨーク - 福本次郎

21世紀の格差と貧困を目の当たりにしたら、ジョンはどんな感慨を抱くだろうか。。。(点数 50点)


(C) 2010 Two Lefts Don’t Make A Right Productions, Dakota Group, Ltd. and WNET.ORG (C) Ben Ross

その死から30年が経ったが、彼の思い出を語る人々の表情はいまだ誇
らしげで喜びに満ちている。己の最大の武器である歌で、反戦と平和
のメッセージを発信し、米国政府を敵に回して一歩も退かなかった反
逆児。世界を変える夢を実現した後は一転して家族というミニマルな
社会構成単位に目を向け、“イクメン”を実践した先駆者。映画は時
代のエッジを走り続けたアーティストの最期の10年間を膨大なアーカ
イブ映像と関係者のインタビューで再現する。

【ネタバレ注意】

イギリスを離れNYに居を構えたジョン・レノン。前衛芸術家の妻・ヨ
ーコのせいでイカレたと陰口を叩かれながらも、米国では政治色の濃
い新曲を次々に発表し、時のニクソン政権から目の仇にされていく。

しかし“反体制のシンボル”のジョンよりも、ニクソン再選の失意か
ら浮気、ヨーコに三行半を突き付けられてLAに遁走するあたりに彼の
素顔が垣間見えて楽しめる。お決まりの酒とドラッグにおぼれる日々。
敗北感に打ちひしがれる姿が新鮮で、彼もまた一人の人間であったと
共感すら覚えた。

二男の誕生以降は積極的に育児に参加し、父と子の絆を深めようとす
るジョン。そんなジョンの丸くなった生き方は、抵抗すべき抑圧を見
失った’80年代の旧西側世界を予見するようで、“War is over”と歌
った彼の心境が具体化されていた。だが、もし、21世紀の格差と貧困
を目の当たりにしたら、ジョンはどんな感慨を抱くだろうか。。。

福本次郎

【おすすめサイト】