ジュリエットからの手紙 - 福本次郎

「ロミオとジュリエット」の設定をうまく生かした脚本がとてもウイットに富んでいて、幸せな気分になれる作品だった。 (点数 70点)


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その思いが真実だと信じている限りは、きっともう一度会えるはず。
半世紀もの間眠っていた手紙に残されていた秘密と後悔は、婚約者と
の距離感に悩む娘に発見されて命を吹き込まれる。そこから見えてく
るのは、歳月は人の姿を変えても、心の中にある純粋な部分は決して
色あせないということ。物語は老婦人の古い恋人を探す旅を通じて、
結婚に迷うヒロインもまた運命の人は本当は誰なのかを問うていく。
使いこまれた石作りの街並みと大地の実り豊かな田園、北イタリアの
詩情あふれる風景をバックに繰り広げられるロマンスは口当たりよい。

ソフィは観光客が残したメッセージに返事を書く「ジュリエットの秘
書」と出会う。そこでクレアという女性の50年前の手紙を見つけ返信
を送ると、クレアが孫・チャーリーを連れてヴェローナにやってくる。

クレアの目的はかつて駆け落ちを約束しながら叶わなかった地元の青
年・ロレンツォとの再会。もはや夫もなくし、残りの人生を悔いなき
ものにするために、少女のころの気持ちに正直に生きようとする。ソ
フィも得意の調査能力を発揮してクレアの初恋の人探しを手伝う。道
中、幾人もの別人のロレンツォを訪ねるが、女性に惜しみなく賛辞を
送るのはイタリア男の礼儀、さらりと口にする姿が板についている。

物思いにふけ、抱き合い、愛の素晴らしさを語り合う、そんなバルコ
ニーに象徴される「ロミオとジュリエット」の設定をうまく生かした
脚本がとてもウイットに富んでいて、幸せな気分になれる作品だった。

福本次郎

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