ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵No.1と呼ばれた男 Part2 ルージュ編 - 小梶勝男

◆Part1よりも展開が派手なPart2。メスリーヌの最後の女を演じたリュディヴィーヌ・サニエが魅力的(73点)

 本作については「Part1」のレビューであらかた書いてしまったので、そちらも参照していただきたいが、どちらが面白いかと聞かれたら、「Part2」の方が面白いかも知れない。メスリーヌがすでに有名になってからの話なので、こっちの方が派手なのだ。ライバルの警視との戦いもあって、ラストに撃ち殺されるのは分かっていても、なかなかハラハラする。

 フランスに戻ったメスリーヌ(ヴァンサン・カッセル)は、銀行強盗を重ねてまたも逮捕されるが、いとも簡単に脱獄してしまう。その後も、様々な男とチームを組んで強盗を繰り返し、自伝を書き、取材を受ける。有名になって、「社会の敵ナンバー1」と呼ばれるに至る。ブルサール警視(オリヴィエ・グルメ)はメスリーヌを銃殺する計画を立てる。

 Part2では、メスリーヌがアナキストとともにジャーナリストを痛めつける描写が残酷。凶暴さが存分に描かれる。その一方、父との再会に涙する場面もある。女性記者にインタビューを受ける場面は虚勢を張っていて、お調子者の面も見せる。変装の名人で「千の顔を持つ男」と言われたそうだが、まさにそのキャラクターにもいろんな顔がある。余りに多面的で、実は中身は空白なのではないか、とも思えてくる。ただ周囲の環境に反応して生きているように見えてくるのだ。

 今回も、いくら何でもと思うほど簡単に脱出してしまうのだが、意外と事実はそういうものなのかも知れない。ラストはPart1の冒頭と同じ場面に戻っていく。4時間を超える時間を付き合った観客にとって、最初にその場面を見たときとは、全く違う気持ちになっていて、いつしかメスリーヌに感情移入していた自分に気付くはずだ。激しい感情移入を強制するのでなく、4時間かけて最後にそう気付かせるくらいに抑えているのが、大人の映画だなあと思う。メスリーヌの最後の女を演じたリュディヴィーヌ・サニエが魅力的だった。

小梶勝男

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