ジェニファーズ・ボディ - 福本次郎

◆親友は大切、その裏腹に親友だからこそ相手を憎く思う、ティーンエージャーにありがちな繊細な心の揺れが甘酸っぱい。そんな学園青春ドラマと思いきや、物語は一転ホラーの様相を帯び、展開が予想できない驚きに満ちている。(50点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 イケてる女子とサエない友人、ふたりは親友同士と誓い合っているのに実際の立場は一方的で、表面上の付き合い以上にお互いに対して複雑な想いを抱いている。「この子といれば私が目立つ」とばかりに連れまわす美女と、「内気な私と子供の時から遊んでくれた」という気持ちからいつも強引に押し切られてしまうメガネ女子。親友は大切、その裏腹に親友だからこそ相手を憎く思う、ティーンエージャーにありがちな繊細な心の揺れが甘酸っぱい。そんな学園青春ドラマと思いきや、物語は一転ホラーの様相を帯び、展開が予想できない驚きに満ちている。

 学校では地味なニーディは学園一のアイドル・ジェニファーと幼なじみ。ある夜、ロックバンドのライブに参加するが、ライブハウスが火事になり、2人は逃げる途中にバンドメンバーにナンパされ、ジェニファーだけが彼らのバンに乗り込む。深夜、血だらけのジェニファーがニーディの家に戻ってくる。

 映画はニーディが刑務所で粗暴な囚人として扱われているところから始まる。ゆえに、ジェニファーが次々と学校の男子生徒を襲いその血を貪っているのはニーディの幻覚なのではと錯覚させる。いつもつるんで仲がよさそうにように振舞っているが、胸の奥に隠されたジェニファーに対するライバル心や嫌悪感がふとした瞬間に顕在化し、ジェニファーは実は悪魔だと思いこんでいるのではないかと。ニーディのボーイフレンド・チップも、火事のショックからニーディがおかしくなったと感じている。そのあたり、大人のようで子供、無邪気なようで狡猾、臆病だが強気といった等身大の高校生の姿が非常に丁寧に描かれる。

 やがてジェニファーはロックバンドによって悪魔へのいけにえとしてささげられたことが判明、しかも処女でなかったので悪魔に乗り移られたというおまけまでつく。肉体の傷はすぐに治るが定期的に人間の血を飲まなければ容姿が衰え、ジェニファーが徐々にやつれていく様子が生々しい。構成も怖がらせ方も中途半端なのだが、一方で人間の感情の機微が細部までリアルで、不思議な魅力を持つ作品だった。

福本次郎

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