シークレット - 佐々木貴之

◆不器用な3兄妹の成長と家族の絆が少ない言葉で語られる。ベタつかない家族愛が心地よい。(70点)

 『セブンデイズ』(07)で脚本を手懸けたユン・ジェグの監督デビュー作となるサスペンス・スリラー。

 “ジャッカル”の異名を持つグァンチョル(リュ・スンニョン)をボスとする悪名高い犯罪組織のナンバー2で、グァンチョルの弟でもあるドンチョルが刃物で惨殺される事件が発生。現場に赴いた実直な刑事ソンヨル(チャ・スンウォン)は遺留品である洋服のボタン、バイオレットピンクの口紅が付着したワイングラス、片方だけのイヤリングを発見し、驚く。それらは、妻ジヨン(ソン・ユナ)のモノと同じだったからである。ソンヨルは咄嗟に同僚刑事チェの目を盗んで隠滅を図り、重要目撃者の証言も掌握してしまう。追いつめられたソンヨルは、被害者と会っていた男を無理矢理に犯人にでっち上げようとしたが……。

 二転三転するストーリー、ドンデン返しが売りの本作。しかも、ストーリー展開はかなりスリリング。だから、観る者は作品の世界観に引きずり込まれてしまうはずだ!!二転三転することによって複雑化するものの、細かなことを考えずに「真実は如何にして明かされるのか?!」ということだけを念頭に置いて観ると文句を言わずに楽しめるのだ。とにかくドラマ展開、サスペンスとしては十分に面白味が感じられ、釘付けにさせられてしまう。

 本作の魅力はサスペンスやスリラーだけではない。ちょっとした酷いバイオレンスもこの手の韓国映画でよく観られがちな描き方で印象深い。だが、何よりもクライマックスの廃工場でのシーンは圧巻だ。車の中でソンヨルとジヨンがお互いのシークレットを話す中、組織の連中が鉄パイプ片手に車を叩き壊そうとするシーンは、実にパワフルに描かれているため、見応えは十分であり、本作で描かれるバイオレンスが最高潮に達したシーンだと言っても良いほど。

 とにかくエンドロール中をも楽しませてくれる究極のエンターテイメントである本作。ユン・ジェグは観る者を存分に楽しませるための工夫をしっかりと成し遂げたのである。この努力だけでも大いに買いたい!!

佐々木貴之

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