シリアの花嫁 - 佐々木貴之

◆愛、団結、勇気に彩られたドラマ(70点)

 中東の複雑で難解な社会状況を背景に花嫁とその家族の一日を描く。

 モナ(クララ・フーリ)と自身の親戚で人気スターのタレルの結婚式が挙げられる今日。この日がモナにとって最高の一日になるはずなのだが、彼女や姉のアマルは悲しそうな表情。それは、タレルが住むシリアに行くと二度と家族との再会がありえないからだ。モナが住むゴラム高原・マジュダルシャムス村はイスラエル領でシリアとの間には国境線が敷かれている。この国境線は肉親をも分断してしまう。意を決したモナと家族は国境線に到着するのだが……。

 社会派テイストでもある本作が小難しくておカタい内容にならなかったのは、モナの家族を描き分けたからだと言える。モナの姉・アマルは妹の身を案じて世話をするが、そんな彼女も家庭ではうまくいっていない。長兄ハテムは父親と気まずい関係。そして父親ハメッドは親シリア派でかっての政治活動が原因で投獄された経験があり、未だに警察から目をつけられている。モナを取り巻く彼らの描写がホームドラマとしての面白さを醸し出しており、見所の一つだと言える。

 終盤でややこしく思えた家族が一つになってモナの結婚式のために国境線に向かう。だが、到着すると通行手続きに関するトラブルに見舞われてしまう。このシーンは第二の見所であり、“この先どうなるのか?”、“うまく結婚式を挙げられるのか?”という感じで観る者を気掛かりにさせ、サスペンス風味を漂わせた面白さが味わえる。

 愛、団結、勇気に彩られたドラマ。この三つのテイストが劇中で描かれる不条理、悲哀、複雑を包み込んで最後に感動を生み出す。ラストシーンは音楽が感動を誘い、最高に良い余韻が残る。この音楽の使い方は秀逸だ。

 地味な小品のイメージが強い作品であるが、味わい深いドラマとして仕上がっているため捨て難い傑作だと言える。

佐々木貴之

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