ショパン 愛と哀しみの旋律 - 福本次郎

ショパンの放蕩ぶりをもっと深く掘り下げれば新しいショパン像が楽しめたのだが…。 (点数 40点)


(C) 2002, A Jerzy Antczak Production, All Rights Reserved.

ハートがとろけるような甘いメロディから激情を鍵盤に叩きつける力強い旋律まで、喜怒哀楽をピアノで表現するショパン。
芸術家がパトロンなしでは生きていけなかった時代、年上の女流作家の庇護と寵愛を受けながら作曲に励んでいく。
しかし、映画は彼の音楽家としての創作の苦悩や葛藤よりも、愛人とその子供たちとの関係を通じて天才の孤独を描こうとする。
自分と音楽を愛せても他人は愛せない、その一方で他人に甘える術に長けている、名曲の陰に隠された作曲家の実像は人間的な魅力に乏しかった。

故郷・ポーランドを捨ててパリに出たショパンは売れない日々に悶々とする。
あるサロンで、リストの計らいで自曲を披露すると大好評を得、流行作家のジョルジュ・サンドから熱烈な恋文が届く。

その後、二児を連れて離婚したジョルジュはショパンをマヨルカ島に誘う。
そこでの奇妙な共同生活、ジョルジュの長男・モーリスは母親が若い男を囲っていることに不快感を隠さない。
ジョルジュには、女として、母として、作家としての三重の懊悩がのしかかる。
このあたりから、物語はショパンの音楽的バイオグラフィから離れ、ひたすら女たらしの一面を追う。

指先から生まれるメロディは人々の心を魅了し、病弱で繊細な風貌は女心をとらえて離さないのは理解できる。
そんなショパンの放蕩ぶりをもっと深く掘り下げれば新しいショパン像が楽しめたのだが…。

福本次郎

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