サーカス象に水を - テイラー章子

畑正憲 ムツゴロウ先生も言っているが、象は最も知恵の高い動物だそうだ。象が主役のラブストーリー。象が好きな人は 観て楽しい。(点数 75点)

アメリカ映画「サーカス象に水を」、原題「WATER FOR ELEPHANTS」を観た。
原作サラ グルエンによる小説を映画化したもの。アメリカ映画。
監督:フランシス ローレンス
キャスト
サーカス団長 オーグスト:クリストフ ワルツ
サーカスの花形 マレーナ:リース ウィザスプーン
獣医学部学生 ヤコブ    :ロバート パテインソン

【ネタバレ注意】

ストーリーは
1931年、アメリカは 未曾有の不景気に見舞われていた。
ヤコブは 実業家の一人息子で 大学で獣医学を学んでいる。
東欧からの移民だったヤコブの父親は 自分の事業を起こして大恐慌の中でも、なんとか中流の生活を維持していた。
ところが ある日突然 両親が車の事故で亡くなる。担保に入っていた会社は銀行に取られ、住んでいた家からもヤコブは追われる。
大学卒業を目前にしながら ヤコブは文字通り 路頭に迷うことになる。
突然、両親を失った悲しみに浸る余裕もないまま、土地を追われ、ヤコブは仕事を探しに街に出ようと決意する。

ヤコブが飛び乗った貨物列車は、サーカス一座が移動する列車だった。
一文無しのヤコブは 雇ってもらいたいばかりに、サーカス団員に混ざって動物達の世話をさせてもらう。
動物の糞尿にまみれて 団員達と一緒に働くうち、ヤコブは すぐに美しいサーカスの花形マレーナに 心を奪われる。
彼女は 団長の妻だった。
しばらくして ヤコブはやっと団長、オーグストの目にとまり 紹介されることになった。
ヤコブは 自分は獣医だと名乗り 正式に雇ってもらうことになった。
しかし団長は酒癖が悪く、飲みだすと冷酷なサデイストになる。
芸を教えても なかなか思い通りにならない動物に対して 厳しく鞭で芸を強制する。
芸をする動物達と 心を通わせているヤコブには それはつらいことだった。
マレーナは夫が暴力を振るうようになると、じっと夫の嵐が過ぎるまで待っている。しかし、
ヤコブは団長がマレーネにまで暴力的になるのが許せなかった。ヤコブは益々、マレーネを慕うようになる。

サーカス団に新しい動物、象が加わることになった。
ヤコブは、この象を飼いならして マレーネが象使いとしてステージにたてるように調教する役を命じられる。
象を扱いながら ヤコブとマレーネの間には特別な感情が芽生え始める。

ある日 団長に逆らったヤコブは 団長の怒りを買い殺されそうになる。
マレーネは機転をきかせてヤコブを走る列車から逃がそうとする。
その土壇場でヤコブはマレーネに 愛を告白してマレーネを抱いたまま 列車から飛び降りて、サーカス団から逃亡する。
しかし、団長と彼のお抱えガードマン達は二人を追って、、、。
というお話。

これはラブストーリーだから、ロバート パテインソンとリーズ ウィザスプーンの二人が主役だが、三角関係で捨てられる方のサデイストのクリスト ワルツが断然輝いている。
役者としての格がちがう。
実に演技が上手で この人、とくに冷酷で血も涙もない男の役をやると輝きが増す。
キラリと目が光り サドになる瞬間の表情など迫力があって他の人にまねできない。切れ味の良いナイフのようだ。
この役者、ブラッド ピットの「イングロリアス バスタード」でもサデイストのナチの将校をやって 82回 アカデミー助演男優賞を取った。この人が 普通の顔で日常会話をしている時が とても怖い。笑いながら どんなことでも冷酷なことができるからだ。
ナチの将校役で英語もドイツ語もイタリア語も使っていたが、このオーストリア人役者は 実際5ヶ国語を自由自在に使えるそうだ。53歳。とても良い役者だ。若いときのピーター オツールのように見えるときがある。

主役のロバート パデインソンは 吸血鬼なのに人間を愛してしまう映画「トワイライト」シリーズで人気者になった。
それなりに役をやっているが、どうしてもこの人の顔が好きになれない。だから「トワイライト」は どれも見なかった。

リース ウィザスプーンが、とても可愛い。
サーカスの花形で、走る馬の上で立ったり、馬を 床に寝そべらせて その上に乗ったり、象に乗って行進したり 二本足で立たせたり 芸をさせて、本当のサーカス団員のようだ。
本人も動物が大好きだそうだ。そうでなければ とてもできない役だ。
シャープなアゴの線と大きな目、、、いくつになってもとても美しい女優だ。
ロバート パデンソンと10歳くらい年が違うが、そんなに見えない。
気が強くて気性が激しいが、案外もろいところのある女の役のぴったり。

話の筋は単純。
総じて役者では クリスト ワルツとリース ウィザスプーンが良かったが、しかし、何と言っても一番素晴らしい役者だったのは、42歳の象TAIだ。打たれて、うちしおれて哀しがったり、2本足でらくらく立ってみたり、音楽に合わせてステップを踏んだり、とてもよく訓練されている。
鼻でコミュニケーションをとったりするところも 可愛くて微笑ましい。

野生動物を群れから離して、芸を憶えさせることは 動物の意志に反しているから 動物虐待ともいえる。
サーカスではもう動物を使わなくなった。それでもなお、TAIは素晴らしい。
畑正憲 ムツゴロウ先生も言っているが、象は最も知恵の高い動物だそうだ。
象が主役のラブストーリー。象が好きな人は 観て楽しい。

テイラー 章子

【おすすめサイト】