サンシャイン・クリーニング - スタッフ古庄

◆思わずたじろぐ職業とは(70点)

 自殺や殺人現場、孤独死の人の部屋・・・血肉、体液が飛び散る場所を綺麗に後処理(掃除)をするプロがいることをご存知でしょうか?

 日ごろ、悲惨なニュースを目にしては、その原因や犯人、遺族に対しての思いに意識がいっぱいで、その事件があった場所の後処理にまではなかなか気が回らないのではないでしょうか?

 事件・事故現場の清掃業なんて、聞くだけで、思わずたじろいでしまいそうになりますが、現実問題必要不可欠な職業ですよね。

 今回の映画は、そんな「事件・事故現場の清掃業」を生業とする姉妹とその家族のお話です。

 映画を観る前のイメージでは、この職業について余すところなく見知ることができるのだろう、しかもユーモラスに♪ と思っていたのですが、実際は、ヒューマンドラマ一色でした。

 姉のローズは30代半ばのシングルマザー。8歳の息子オスカーをハウスクリーニングの仕事をしながら育てています。しかも、、元恋人と不倫中。。。

 さらに、息子のオスカーには問題行動を起こされては、学校に呼び出されるという日常を送っている。

 一方、妹のノラは学歴なしでどの仕事も長続きせず・・・。ローズの息子を数時間みることで、ローズからおこずかいをもらっては、父ジョーと暮らしている。

 ちなみに父ジョーが何をしているのかと言うと、これまた微妙なベンチャービジネス?これを手がけては失敗を繰り返しているのです・・・。

 そんなどろ沼家族の成り行きを見守る映画なのだ!

 ある日、あまりの問題行動にオスカーが学校を追われたため、私立の学校に通わせることを決意したローズ。お金が必要になった彼女はただただお金のためだけに、嫌がる妹のノラを引き連れて「事件事故現場の清掃業」を見様見真似でやり始める。

 当初は、血みどろの現場やウジの沸いた孤独死の老人宅へ普段着のまま、なんの準備もなく出向いては掃除をし始め、知識も何もない私が見ていても、「え!? そんなんでいいの?? 感染症とか大丈夫なんだろうか・・・」と心配になるほどでした。

 しかし、グロイ上に、“自殺や孤独死などの人間が抱える闇の部分”にもソフトに触れたダークな内容の割りには、この姉妹の“お掃除風景”はユーモラスに描かれていて重たさはあまり感じられず。

 最初はお金のためだけにやっていた姉妹だが、次第に仕事が板につき始めると同時に、この姉妹の持つ、“母親に関する悲しい過去”も因果してこの仕事は「残された遺族(大切な人を失って悲しむ人々)の力になれるんだ」と、「不慮の死を迎えた人の思いを遺族に届けられるんだ」と、そんなプロ意識が芽生え始める。

 多少、アメリカと日本の風習の違いによってピンとこない箇所もありますが、この当たりは、『おくりびと』に近いものがあります。

 冴えないトラブル続きのどん詰まり人生の中で、希望の光を見出したものは人が度肝を抜く方法だったけれど、それでもコツコツ泥沼から抜け出そうと頑張る姉妹の、父と子の強い絆にはとても好感がもてる作品でした。

 血のつながりって不思議なものですね。家族には、ついついひどい言葉を言ってしまっても、家族が家族を思う気持ちの強さは、いつでもどこでもどんなときでも結局は同じであるということに、ほんのり幸せを感じさせられるラストでありました。

 配役もローズには『魔法にかけられて』のちょっとドジっぽいかわいらしいさが光るエイミーアダムス。ノラには『プラダを着た悪魔』に出演していたサバサバ系美人さん、エミリー・ブラント。それぞれ、とってもはまり役で、さらに父ジョーを演じているアラン・アーキンが味わいを深めています。配役もばっちりではないでしょうか♪

 とっかかりは、「死体現場の掃除映画」ということで、センセーショナルかもしれませんが、その内容は決して派手ではなく当初のイメージとは120度くらい(笑)違った内容でしたが、いい意味で裏切られた作品です。

 全米でたった4館の上映からスタートしたにも関わらず、人気が出た理由がわかりましたー。

 同映画制作チームによる前作の『リトル ミス サンシャイン』も似たような物語だとか。私は、前作を観ていないので、こちらも是非観てみたいと思いました♪

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