サブウェイ123 激突 - 福本次郎

短いカットとアップを多用し、常にカメラの位置を移動させるクールな映像は、人質救出までのタイムリミットともにをスピード感を盛り上げる。犯人と地下鉄職員の駆け引きがさらなる緊張感を際立たせ、映画は最後まで疾走する。(50点)

サブウェイ123 激突

 短いカットをつなげ、アップを多用し、常にカメラの位置を移動させるクールでスタイリッシュな映像は、人質救出までのタイムリミットとともにをスピード感を盛り上げる。地下鉄ハイジャック犯と地下鉄司令部職員の無線によるチキンゲームのような駆け引きがさらなる緊張感を際立たせ、映画は青信号のレールの上を暴走する車両のような疾走感とともに最後まで突っ走る。善人の皮をかぶった偽善者である主人公が、それを無理やりはがされたときに見せる苦悩と、罪を認めることで吹っ切れ、贖罪の戦いに身を投じる姿が物語に奥行きを持たせる。

 NYの中心部を走る地下鉄が4人組に乗っ取られ、人質の身代金として1時間以内に1000万ドルがNY市長に要求される。犯人側のリーダー・ライダーは交渉役に地下鉄職員・ガーバーを指名する。

 ライダーに「人質を殺す」と脅され、ガーバーが左遷の事情を語るシーンが最大の見せ場だ。収賄疑惑をかけられているガーバーが、シラを切りとおすか、容疑を認めるか。ガーバーは自らの正義を問われ、激しい葛藤の末に真実こそが人を救うという結論に達する。それは人質の命だけでなく自分の良心も救ったということ。その決心が逆にライダーとの対決に彼を駆り立て、口先だけの交渉人から行動するハンターに変貌する。そのあたりのガーバーの心境の変化をデンゼル・ワシントンが繊細に演じ分けている。

 ただ、犯人側の逃亡計画はあまりにも杜撰だ。35年前の「サブウェイ・パニック」ならば非常出口から何食わぬ顔で出てきても不自然ではなかったが、今回もホテル下の廃駅から脱出するという芸のなさ。案の定すぐ警察に見つかってしまう。ライダーの目的が身代金ではなく金相場の投資なのだから、最初から犯人たちは覆面を被って人質には目隠しをさせ、身代金受け渡し後に人質にまぎれて逃げるというくらいの小細工はほしかった。そのトリックが乗客が持ち込んだパソコンのビデオチャットの映像でばれるというようなオチで。。。

福本次郎

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