サブウェイ123 激突 - 町田敦夫

◆ワシントンとトラボルタが副題どおりに“激突”!(70点)

 1974年の『サブウェイ・パニック』をトニー・スコット監督がリメイク。主演のデンゼル・ワシントンとは『クリムゾン・タイド』『マイ・ボディガード』『デジャヴ』に続く4度目の顔合わせだ。共演のジョン・トラボルタとワシントンが副題そのままに繰り広げる“激突”が興奮を誘う。

 ライダー(トラヴォルタ)の率いる一団が地下鉄車両をハイジャックし、1時間以内に1000万ドルを払うよう要求。「1分遅れるごとに人質を1人殺す」と脅迫する。運行指令係のガーバー(ワシントン)は渋々交渉役を引き受けるが……。

 同じ地下鉄職員でも74年版のウォルター・マッソーは公安局の警部補という立場だったが、こちらのワシントンはただの運行指令係。交渉役になったのは、たまたまハイジャックの発生時に自分がシフトについていたからに過ぎない。ただ、それだけに地下鉄の設計や運行に関しては隅々まで知り尽くした叩き上げ。ライダーの方も手下に元地下鉄職員を抱えており、豊富な知識と秘策を総動員した両者の頭脳戦は圧巻だ。ちなみにワシントンの役名がウォルター・ガーバーになっているのはマッソーへのオマージュ。74年版のマッソーの役名はザカリー・ガーバーだった。

 犯人グループが水際だった手口でハイジャックを成功させてからは、まさに一直線。車両内の惨劇、時間と競争の身代金運搬、切り離された列車の暴走など、いくつものサスペンスが同時進行し、片時も目を離せない。実際の地下鉄構内を使って撮影された映像は迫力十分。登場人物のすぐ脇を轟音とともに列車が通過していくショットなどは、その風圧が画面から伝わってくるほどだ。

 74年には存在しなかったインターネットとマネーゲームが、ストーリーに多くの新味を加えている点も興味深い。ライダーとの息詰まる交渉の中でガーバーの思わぬ秘密が暴露されていくくだりなどには、あたかも舞台劇のような緊迫感がある。1度は誇りを踏みにじられたガーバーが、それでも愛する地下鉄を守ろうと奮闘するサラリーマン魂もまた好ましい。全体的に見て水準を優に超えた作品であるだけに、肝心の直接対決シーンがどうにも無内容になってしまったのが惜しまれる。

町田敦夫

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