サバイバル・オブ・ザ・デッド - 渡まち子

◆これはまさしくゾンビ版「大いなる西部」である(65点)

 ゾンビ映画のマエストロ、ロメロの新作は、まるで西部劇のようでワクワクする。突如、死者が蘇り、人々を襲いはじめて4週間。世界は地獄と化していた。混乱状態の中、元州兵のサージと仲間たちは、強盗を繰り返す日々を嫌悪しながら安全な場所を求めてさまよっていた。ある時、ゾンビのいない島があるとの情報を耳にする。わずかな望みをかけて島に辿り着いた彼らだったが、そこで目にしたのはさらなる衝撃の現実だった…。

 本作は「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」のサイド・ストーリーという位置付けで、前作で軍を離脱したサージ一行の行く末を描く物語だ。このストーリー展開に、思わずニヤリとするならば、その人は西部劇ファンに違いない。閉鎖的な地域を二分する勢力争いと、そこに割って入る外部の人間。対立するそれぞれの家長の言い分の矛盾と、彼らに従う者たちの思い。これはまさしくゾンビ版「大いなる西部」である。だが銃声の果てに新時代の到来を迎えるW・ワイラーの名作西部劇と違うのは、どれほど戦ってもゾンビとの死闘には終わりがないということだ。その島に希望などないことは、サージやその仲間たちは知っていたに違いない。だが、秩序を失った世界で軍の機能もマヒした現状では、わずかな望みに賭けてみるしかないのだ。今回のゾンビの新しさは、水中でも元気に動き回るということ。ロメロのゾンビは常に進化している。また、人間対ゾンビの戦いと平行して、人間対人間という争いの構図も。ゾンビと見ればソク射殺すべし! という一派とそれに反対する人々の差異とは、大切な家族や知人がゾンビになった時、ためらわずに引き金が引けるかどうかだ。おぞましい世の中でいかに人間性を保てるかを、自問し続ける。それがロメロが今もなおゾンビ映画にこだわる理由なのかもしれない。

渡まち子

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