◆西部劇的面白さとゾンビ映画ならではの面白さが最大限に発揮された(70点)
ゾンビ映画界の名匠ジョージ・A・ロメロ監督の最新作で前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(07)の四週間後を舞台に、ゾンビの生存と戦争がテーマとなっている。
ゾンビとして甦った死者が蔓延る無法な世界。元州兵サージ(アラン・ヴァン・スプラング)ら一行はデラウェア沖に死者が甦らない安全な島が存在するという情報をキャッチしてその島へ赴く。しかし、彼らがその島に到着してからは人々から襲撃を受け、さらにはゾンビの群れが待ち受けていた……。
本作ではユニークなゾンビたちが観られるのが一つのポイントだ。『ゾンビーノ』(06)でお馴染みの鎖に繋いで飼育されているゾンビをはじめ、馬にまたがる女ゾンビ、夜中に釣を楽しんでいる男が魚ではなくてゾンビを釣ってしまったり、郵便配達や農業をするゾンビ……。これだけも十分に楽しませてくれるのだ。
また、ノソノソ歩くゾンビたちを銃で撃退したりといったアクション系ゾンビ・ホラーならではの見せ場も随所に散りばめられているし、ゾンビの人喰いシーンをはじめとするグロいゴア描写も観られたりとサービス精神満載で魅せつけているのが良い。木の枝に突き刺さったゾンビたちの頭部を射撃の的当て同様に撃ってみたり、ゾンビの口に消火器のホースを突っ込んでそのまま消火器を噴射して頭部爆発に目玉ブッ飛び、ダイナマイトを使ってゾンビが潜む家ごと爆破させたりといった印象深いシーンをしっかりと用意している点は、ポイントが高い。
ラストは、サージら州兵軍とゾンビ撃退派オフリンの連合チームとゾンビ擁護派マルドゥーン、ゾンビ軍団の三つ巴サバイバル・バトルで銃撃戦と人喰いが観られ、大いに盛り上がる。西部劇テイストを取り入れていることもあって、西部劇的面白さとゾンビ映画ならではの面白さが最大限に発揮された最後の見せ場だ。
(佐々木貴之)