ゴールデンスランバー - 前田有一

◆仙台ロケは迫力満点(70点)

 『ゴールデンスランバー』は、首相暗殺の容疑をかけられたいち市民の逃亡劇を描いたアクションである。この新首相は、ケネディよろしくオープンカーでパレードしているところを狙われる。

 ところで普通の人々にはまったくうかがい知れぬ話と思うが、いま民主党政権はいわゆる外国人地方選挙権を推し進めようとしていることから保守の人々に死ぬほど恨まれており、「こうなったらテロしかない」などと物騒な声すら聞こえてくるほど。映画の総理大臣も政権交代したばかりで、なんとなくしゃれにならない符号である。

 ちなみに件の外国人参政権であるが、そんなものを通しても小沢幹事長の悲願である参院選勝利にはほとんど直接的集票効果がない以上、どこかで取り下げるに決まっている。地検特捜部もいい具合に踊ってくれており、小沢氏としても取り下げる機会到来ということで、内心ほくそ笑んでいるのではなかろうか。

 「在日外国人のみなさま、尽力しましたが今回は地検にいじめられ無理でした。とりあえず夏の参院選に協力してくれれば次こそ通します」と、永遠に言い続けているほうが、どう考えてもお買い得である。結婚詐欺は結婚してしまったら終わり。指輪をチラつかせて絞るのが手口と相場は決まっている。大体、内閣に反対派の亀井大臣を入れている時点で、本気で通す気などゼロではないか。

 そんなわけで、ばかげたテロなど考えている方は落ち着いたほうがよろしいとアドバイスしておく。

 さて、話は戻って映画だが、あざといくらいの伏線とその回収、週刊少年ジャンプ読者でも赤面してしまいそうな友情ドラマと、下町の味噌汁ほど濃い味付けのドラマが堪能できる。

 基本的にはポリティカルサスペンスではなく、コメディを交えた友情ドラマなので、前者に期待する人は要注意。

 なにしろコレ、VIPのパレードの列の目の前まで怪しい自家用車で近づくなど、リアリティの面ではむちゃくちゃである。皇室でも政治家でもいいが、一度でもそういう重要イベントに出席した経験があれば、こういうおちゃめな演出はしないと思うのだが……。いまどき浅草のサンバカーニバルだって、あんなに近づこうとしたら警官がすっ飛んでくる。

 邦画の、とくに大作全般にいえることだが、こうした面に目をつぶり、おおらかな心で見るしかないのは残念なことだ。

 しかしながらこの映画、人間造形はよくできており、出てくるキャラクターはみな魅力的。とくに、かわいい通り魔の存在は前半の展開を大いに盛り上げてくれる。ターミネーターのような追っ手との対決シーンでは、軽快なアクションを楽しむこともできる。こんなのが実在したら、焼肉好きのイッチー以上に人気を集めかねない。

 現実の鳩山政権よろしく、アメリカをおちょくった描写が散見できるのも、いまどきの映画らしくて面白い。最近流行りの伊坂幸太郎原作の娯楽映画としては、間違いなく上位に入るであろう。

前田有一

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