ゲーテの恋 - 福本次郎

愛の素晴らしさが生きる力に変わる瞬間のきらめきにあふれた映像が美しい。(点数 60点)


((C) 2010 Senator Film Produktion GmbH / deutschfilm GmbH /Warner Bros.Entertainment GmbH / SevenPictures Film GmbH / Erfttal Film- und Fernsehproduktions GmbH & Co. KG / Goldkind Filmproduktion GmbH & Co. KG / herb X film Film- und Fernsehproduktion GmbH / Summerstorm Entertainment GmbH / magnolia Filmproduktion GmbH / CC Medienproduktions- und Verwaltungs GmbH)

絶望は創作の源、苦悩は情熱の証。恋に破れた青年は心の痛みをペン
に託し思いをつづる。死が頭をよぎっても、実際に引き金を絞る勇気
はない。一方で言葉は泉のごとく湧きあがり、いつしか苦く切ない思
い出は不朽の文学作品に昇華されていく。まだ自分の進むべき道を決
めかねていた若き日の文豪、映画は彼が自殺してしまいたいほどのつ
らい経験の末に才能を開花させていくまでを描く。直接顔を合わせる
か手紙だけが気持ちを伝える手段、そんな当時の空気が、舗装されて
いない泥だらけの道やろうそくの炎しかない夜に象徴されていた。

法律を学ぶゲーテは試験に落第、書き上げた戯曲も出版には至らず、
小さな町の裁判所の実習生となる。ある日、ダンスパーティでロッテ
という娘と出会い、ふたりは急速に惹かれあっていく。

意識しているのにどちらも相手が行動を起こすのを待っている。恋の
駆け引きというにはあまりにも未熟な意地を張りながら、我慢できず
につい馬を飛ばしてしまう。すぐには会える距離ではないが、胸の高
鳴りを抑えるには近すぎる。一度は入れ違いになるのに帰り道でお互
いの姿を認めた時の喜びが、草原と森、そして廃屋の中で唇を重ね体
を合わせるシーンに凝縮されていた。愛の素晴らしさが生きる力に変
わる瞬間のきらめきにあふれた映像が美しい。

【ネタバレ注意】

誰もが体験する青春の蹉跌、だから書かずにはいられない。その衝動
こそが作家にオリジナリティを与えることを彼の背中は饒舌に語る。

福本次郎

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