ゲット スマート - 映画批評なら映画ジャッジ!

◆80億円以上の予算をかけたコメディ(95点)
スカッとしたい2009

 アメリカではコメディジャンルが人気があると、ここでは何度も書いている。人気があるということは、そのぶん金をかけられるということ。だからあの国では、『ゲット スマート』のようなお笑い映画一本に、なんと80億円以上もつぎ込むという無茶な現象がよく見受けられる。

 極秘諜報機関"コントロール"の情報分析官マックス(スティーヴ・カレル)は、優れた分析能力があだとなり、長年の夢である現場の諜報員になれずにいた。ところが本部が犯罪組織"カオス"に襲撃され、全諜報員の顔と名がバレてしまう。そこで身元を知られていないマックスが急遽昇格となり、偶然整形手術直後だったベテラン女エージェント99(アン・ハサウェイ)と組み、カオスに対峙することになった。

 大人気だった『007』のパロディとして60年代に作られたテレビシリーズ『それ行けスマート』の映画化。私もオリジナルは見たことがないが、ベテラン評論家のセンセイによると、当時の小ネタがちりばめられ、大変面白かったということだ。キャストはもちろん一新されたが、当時を知る年代の人も、懐かしい思いを味わえるのではないだろうか。

 もっとも監督のピーター・シーガルも40代で、おそらく本放送を見た世代ではないと思うが、その分、40歳の童貞男ことスティーヴ・カレルの個性を生かした、現代的なセンスあふれるコメディに仕上げてある。

 米国では最近、行き過ぎたおバカコメディは流行らないので、本作もドラマ部分、キャラクター、そしてアクションについては、おふざけ控えめのリアリズム志向となっている。

 この"普通の映画"としてのベースがあるおかげで、英語を解さぬ日本人が見ても十二分に楽しめる。そんなわけで私は最近の米国コメディを、これまで敬遠してきた日本人にも積極的にオススメしている。

 ドタバタコントのごとき笑いに、政治を軽くからかうジョーク系も織り交ぜる。なんといっても予算80億円。下ネタひとつにしても、きっと何度も徹夜の会議を繰り返し、練りに練られた選りすぐりなのだ。面白くないわけがないではないか。これぞまさに、ギャグのロールスロイスというほかない。

 もちろんその合間には、スパイ映画らしく(やはり80億円にモノをいわせた)超絶スペクタクルが挟み込まれ、退屈する暇なし。その迫力ときたら、本職のアクション映画も顔負け。ザ・ロック改めドウェイン・ジョンソン(『スコーピオン・キング』(2002))が脇役にまわる豪華な布陣で、贅沢な見せ場がいくつも見られる。

 アメリカは、ことこの手の映画に関しては、他国の追随を許さない完成度を見せ付けてくれる。洋画の興行が不振というが、これほど凄い作品をすいてる映画館で見られるとは、なんと幸せなことよ。

 もし今、私が誰かにデート用の映画を問われたら、真っ先にこれを挙げる。思い切り笑って、二人の距離を縮めてくれるに違いない傑作である。

映画ジャッジ

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