グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独 - 福本次郎

彼の音楽は時代を越えて人の心に訴える魅力があることは確かだ。。。 (点数 50点)


(C)Jock Carroll

芸術家に必要なものはオリジナリティ。だが、世間を驚かせるような
斬新なスタイルの演奏も、大衆に受けいてられ広く認知されるにつれ
陳腐になる。その結果、主人公はさらなる革新を求めてますます自分
の殻にこもり偏執的になっていく。映画は、天才ピアニストが、創作
の過程で他人を遠ざけ、孤独にさいなまれながらも自らの存在をアピ
ールしていこうとする姿を描く。多くの謎ゆえに伝説となった人生と
は裏腹に、彼の素顔を知る人々の証言が生々しい。

【ネタバレ注意】

モントリオール出身のグレン・グールドは、NYでのデビューリサイタ
ルでレコード会社重役の目にとまり早速契約を結ぶ。彼の自然で明快
なバッハはたちまち大評判になり、ソ連公演でも大好評を得る。

キャリアのまさに絶頂期、指揮者のバーンスタインと対立する事態に
なる。指揮者と演奏者、どちらが主導権を持つのかという問題はさて
おき、グールドの絶対に妥協しない姿勢がうかがえる。ただ、2人の間
にどんな葛藤があったのかは当事者のみが知るところだろうが、この
事件の顛末をもう少し掘り下げてほしかった。

やがてグールドは聴衆の前から消え、レコードのみで新作で発表する。
それは彼にとっての完璧な音楽。そこには計算された美しさがあるの
み。作り手は、そのあたりの音楽性よりもむしろ彼の変人神話の裏に
ある人間的なエピソードを丁寧に拾い集める。彼の音楽は時代を越え
て人の心に訴える魅力があることは確かだ。。。

福本次郎

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