CGの壮大な表現力に対する驚きよりも興ざめ感が勝っていた。 (点数 40点)
(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. TM&(C)DC COMICS.
剣、シールド、機関銃、ドライブコース…、彼の意思が描く力が強け
れば強いほど武器は強力になる。また、空中を自在に動き回るだけで
なく宇宙の中心まで一気に飛べるパワーも身につけている。もはや地
球人の知性を圧倒し想像力を完全に凌駕するヒーローの活躍は、今ま
でに見た記憶のない映像の連続。その珍妙な世界観は理解しようとし
ても無駄、こういうものかと受け入れるしかない。
【ネタバレ注意】
悪の権化・パララックスに瀕死の重傷を負わされたアビン・サーは地
球に不時着、新たな仲間探しを緑の指輪に託す。指輪はパイロットの
ハルを見つけ、ハルは与えられた使命を全うしようとする。
「なぜ自分が」というのは、期せずしてスーパーヒーローになった者
の共通した思い。ハルもまた責任の重さに躊躇し、一度は断ろうとす
る。一方、冴えない科学者・ヘクターはアビンの検死を行う際にパラ
ラックスの破片に触れて能力を授かり、彼は現状を変えようとその力
を己の欲望に利用し始める。正義の戦士としての成長過程がいびつな
形で省略されるハル以上に、もともと持っていた人生への恨みや容姿
・性格・才能の劣等感を悪のパワーに転用していくヘクターのエピソ
ードのほうが、人間的で共感できる部分が多かった。
ハルは宇宙空間でパララックスを迎え撃つのだが、伏線がまったくな
い何でもアリ的な対決シーンは、CGの壮大な表現力に対する驚きより
も興ざめ感が勝っていた。
(福本次郎)