◆手持ちカメラを駆使した臨場感溢れるアクションシーンが秀逸(75点)
マット・デイモンとポール・グリーングラス監督が『ボーン・スプレマシー』、『ボーン・アルティメイタム』に続いて三度目のタッグを組んだ戦争系サスペンス・アクション。
ロイ・ミラー上級准尉(マット・デイモン)率いるMET隊は、イラク政府が隠した大量破壊兵器を見つけ出す極秘任務を遂行していた。だが、探しても見つからないため、国防総省の情報を不審に思い、独自の調査を開始する。やがて、同様の疑念を抱くCIA調査官ブラウン(ブレンダン・グリーソン)と共闘し、国防総省幹部パウンドストーンのくどい妨害工作に手を焼きながらも兵器に関する情報源である正体不明の人物“マゼラン”を洗い出し、その謎の核心に迫っていくが……。
手持ちカメラを駆使した臨場感溢れるアクションシーンが秀逸だ。目まぐるしさ、勢いとテンポの良さを実感させる。特にクライマックスの追跡シーンや銃撃戦は迫力満点の仕上がりであり、アクション映画として最高の出来栄えだと言い切れる。
真実を追究するというサスペンスドラマならではの面白さ、未来の我が国を憂うイラン人の描写も興味深く、これらが内容のある作風として引き立てられている。
タイトルは簡単に言えば“安全地帯”を意味しているが、正確に言えばイラク中心部の米軍駐留地域のことである。
(佐々木貴之)