キングダム/見えざる敵 - 福本次郎

◆テロリストを絶対悪と定義するFBI捜査官と、米国を悪魔の帝国と名指しするテロリスト。憎しみの連鎖は更なる犠牲者を生み、殺戮は復讐の糧になる。しかし、他国の主権を踏みにじり捜査を強行する主人公には嫌悪感を覚える。(40点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 テロリストを絶対悪と定義するFBI捜査官と、米国を悪魔の帝国と名指しするテロリスト。憎しみの連鎖は更なる犠牲者を生み、殺戮は新たな復讐の糧になる。しかし、その過程で強引に他国の主権を踏みにじり捜査を強行するFBI捜査官には嫌悪感を覚える。親友が自爆テロの犠牲になったからといって国際法を無視して外国に乗り込み、現地警官を部下のようにこき使う。捜査法においていかに優秀でも、そのやり方が同盟国からも反感を買うことがどうして分からないのだろうか。あえてその傲慢さを描くことで米国流への反発を煽ろうとしているのなら、その試みは成功している。

 サウジアラビアの外国人居住区で爆弾テロが発生、FBI捜査官のフルーリーは3人の捜査官と共に現地に乗り込む。フルーリーらはサウジ警察のガージー大佐の協力を得て、テロリストの身元を洗う。

 手持ちカメラによる不安定な映像は見るものの神経を苛立たせる。短いカットと微妙なぶれ、そのせいで全体像が見えづらく、非常に疲れる。戦闘シーンならばこの手法は臨場感を産むが、普通の会話のシーンは安定した映像で見せるべきだろう。特に前半は、物語とのかかわりが薄い政治家や官僚までいちいち名前と地位を紹介するテロップが出るので、映像がごちゃごちゃとしてまとまりを失っている。説明過多で却って分かりづらくなるという悪循環。カメラの使い方を間違っている。

 やがてフルーリーたちもテロの標的となり、移動中に襲われて捜査官のひとりが拉致される。仲間の救出という大義名分ができたフルーリーたちは、押っ取り刀でテロリストのアジトに乗り込み銃弾の雨を降らせる。ここでも敵は倒れるがFBI捜査官には銃弾も爆弾も当たらないというご都合主義の中、正義の米国が悪のテロリストをやっつけるという分かりやすい構図のフルーリーたちに迷いはない。ステレオタイプをあえて踏襲することで米国の独善を批判しているのなら、相当な高等テクニックだ。。。

福本次郎

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