キリング・ショット - 青森 学

スタイリッシュなクライムムービーを目当てにしている人には期待に沿えると思う(点数 80点)


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ギャング同士がラスベガス郊外にある場末のダイナーで三つどもえの抗争をするストーリーなのだが、ターンテーブルでスクラッチをしているような編集・場面構成が面白い。時系列を崩した構成は過去に何作もあるが今作ではそれを多用することで新しい意味を持ち始めている。場面を小出しに見せることで観客の興味を持続させるストーリーテリング。
また、ひききり無しに流れるカントリーやポップスがラジオをザッピングしているような忙しなさがあるが、登場人物の心象風景にマッチするとむしろそれが心地よさを誘う。
そして、寓意を含んだ譬え話など奥行きのある台詞。
そのどれもが既視感を拭えないものであることは認めるが、それを敢えてしてしまうのはそれを超えるだけの面白さが用意されているからだ。

マフィアのボスのメル(ブルース・ウィリス)が殺し屋のロニー(フォレスト・ウィテカー)に聞かせる先住民族の酋長であるランニングベアーと捕虜になったカウボーイの友情の話しだが、カウボーイは慢心から恩人のランニングベアーを裏切ることになる。メルは言う。そのカウボーイに無かったのは「尊敬」なのだ、と。
ランニングベアーの話しは作品を超えて今作でデビューしたアーロン・ハーヴェイと映画界に偉大な足跡を残した名監督へのメタメッセージになっている。

ランニングベアーの話しは映画を超えて新人監督がリスペクトするガイ・リッチーやタランティーノへの想いにも置き換えられる。
他者を語ることは同時に自分についても語ることだ。それは他者について語る時に自分のフィルターを透すので、そこにはどうしても主観が入る。主観の多くは自分の経験や信条が濃厚に反映される。だから他者について語っているようで結局は自己紹介になっていることが多い。
「語るに落ちる」と言う時、”ブーメラン”とか”鏡”と言われるのは、そのような仕組みがあるからだ。
しかし、彼は過去の作家に敬意を払っているからこそ、この映画が単なるエピゴーネンにはならずにひとつの作品として世に迎えられたのだ。

ダイナーではヒロインであるテス(マリン・アッカーマン)とロニーともうひとりの殺し屋とで、まるで蛇とカエルとナメクジのような三すくみの状態になるが、カットバックされる彼らのエピソードが重ねられて観客も次第にこの特異なシチュエーションを理解するようになるプロセスがこの映画の醍醐味でもある。只、この作品を時系列に沿って編集しなおしたら普通の作品になっていたのかもしれない。それをクリエイターの手腕で過去の名作に比肩するようなレベルにまで上げてしまうのだから、この新人監督の才能は見るべきものがある。『パルプフィクション』や『スナッチ』で洗練されたクライムムービーの虜になってしまった人には、この映画は往事の興奮を再び味わえる作品だと言っても過言ではない。

青森 学

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