キラー・ヴァージンロード - 前田有一

木村のバカ美人がいい(55点)

キラー・ヴァージンロード

© 2009 「キラー・ヴァージンロード」製作委員会

 最初に一番大事なことを書いておく。『キラー・ヴァージンロード』はハイテンションなコメディなので、冒頭のミュージカルシーンで一気に気持ちの乗せないとダメだ。映画館に入るまで、たとえ武蔵野線の陰気な満員電車にうんざりしていたとしても、常磐線のじべたに座る女子高生を見て嘆いていたとしてもすべて忘れ、このノーテンキな空気に乗り切らないと、その後の時間がもったいない。

 見た目はそこそこだが、なぜかさえない人生を送ってきたOLひろ子(上野樹里)。そんな不運の集大成か、ある日ひょんな事からアパートの大家を殺害してしまう。おりしも明日はようやくめぐって来た幸福=結婚式。彼女は熟考?の結果、死体をスーツケースにいれ、富士の樹海に捨てようと車を走らせる。

 さて、この後ヒロインは自殺願望はあれど死に切れない、薄幸の美女(木村佳乃)と出会う。この二人の珍道中に笑う、という作品。

 上野樹里は、顔のパーツはどれも綺麗なのに全部合わせるとどこかブサっぽいという、コメディエンヌとして有利な特性を持っている。代表曲・おなら体操を例に出すまでもなく、ちょっと足りない感じの声質もいい。そんな彼女がこの手のブラックなコメディをも上手にこなすのは予想通りというべきか。

 今回意外だったのは、そんな上野以上に客の笑いを誘う木村佳乃の存在。彼女は上野と正反対に、誰が見ても文句なしの美人だが、こういう人が「勝手に思い込んで自滅する究極のアホキャラ」を演じると、もうそれだけで面白い。

 ただ二人の演技はすばらしいが、全体的に舞台演劇的なつくりで、映画としてはやや物足りない。とっぴなオープニングで不条理劇に巻き込む手法は常道だが、その後の展開がアイデア不足というか途中で種切れの印象で、引っ張りすぎの一発ネタの印象を脱しない。

 岸谷五朗監督は本職でないわりにはうまく作ったと思うが、映画として100分間持たせるには、もっとこちらの想像を超えるような展開、笑いを考え、詰め込んでほしいと思う。

前田有一

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